だが、唯一の失投が先制点につながった。0-0の6回。先頭の投手ウィーランドに真っすぐを左中間スタンドにライナーで運ばれた。「あの1球だけだったが、その後も切り替えて投げられた」。7回まで77球の省エネ投球を披露した。

 この日の登板前まで6試合で1勝。好投が白星に結びつかないなど、めぐり合わせが悪い試合が続く。前回10日ヤクルト戦は5回6失点。試合を作れず、通常登板2日後に与えられる休養日を返上。「技術的な練習をしたかった。強い球を投げておきたかった」。ポール間走、投球間の力を入れたキャッチボールで感覚を確かめた。

 右脇腹違和感から実戦復帰して約3週間でシーズンを迎えた影響も少なからずある。だが「もう不安なく、自分の球が投げられたと思う」と大きな手ごたえを得た登板となった。緒方監督も「前回、前々回の投球内容からガラリと変わって、力を抜いてリリースのところで力を伝えられていた。いい投球をしてくれた」と復調の兆しを感じた。首位阪神を追走するためには、大瀬良の完全復活は欠かせない。【前原淳】