巨人長野久義外野手(32)に、ようやく待望のタイムリーヒットが飛び出した。7回2死一、二塁、0-0同点から均衡を破る2点適時三塁打をマーク。試合前まで得点圏では21打数無安打で、2回の1死一、二塁でも遊ゴロ併殺に倒れており、実に今季28打席、23打数目にして初の適時打だった。負ければ今季初の借金の危機だったチームは、延長10回にケーシー・マギー内野手(34)の決勝打で競り勝った。

 長い眠りから目を覚ました。得点圏に走者を置き、長野が打席に入る。今季28度目の光景だった。7回2死一、二塁。DeNA井納と対峙(たいじ)する。左足で打席の土を後ろに蹴り上げる。カウント1-2からの4球目。外角低めに沈む132キロフォークに食らいついた。低弾道の打球は右翼手梶谷のわずか前で弾み捕球にもたつく間に三塁を陥れた。「打てて良かったです」と一言だけ。のどから手が出るほどほしかった今季初の2点適時打をもぎとった。

 無表情を貫く日々も、どん底まで追い込まれていた。睡眠中は悪夢にうなされた。「寝てるときに野球の夢をみるんです。チャンスで打席が回ってきて…。はっと目が覚める」。得点圏が恐怖にも感じた。野球人生で経験したことがない長期スランプにもがき苦しんだ。プロ入りから百戦錬磨で突き進んできたバットマンが暗闇に迷い込んだ。