金本采配ズバリで大逆転だ。2点ビハインドの5回途中、金本知憲監督(49)は阪神先発小野をスパっと諦め、桑原を投入。勝ちパターンの右腕を惜しみなく注ぎ込むと、桑原も16試合連続0封で応え、7回の逆転劇を呼び込んだ。9回はドリスがハラハラだったが、桑原、岩崎、マテオも含めて無失点リレー。鉄壁の17年版勝利の方程式は「KIMD」と名付けましょうか。

 最終回のドリスの“大暴れ”も、勝ったから、よしとしよう。9回1死満塁と、サヨナラの悪夢もよぎる大ピンチ。それも最後は中軸を力で押し切り、両リーグトップの17セーブで最少得点差を守りきった。

 3勝目を挙げた勝ち投手こそが、ヒーローだ。2番手・桑原の快投が、試合の流れを完全に引き戻した。5回、先発の小野が4点目を失い、2-4と点差が2点に開き、なおも1死一塁。ヤクルトを追う状況で、勝ちパターンの中継ぎ・桑原を金本監督はマウンドに送り込んだ。

 「今週はみんな1回しか投げていないから。きょうは少々1点、2点ビハインドでも週2回目の登板だから多めに行こうという話は香田さんとしていました」。試合前から、備えがあった。中継ぎ陣の中でも桑原を選んだ理由を「これ以上取られたら、しんどいから」という。桑原なら抑えてくれる、という信頼はゆるぎなかった。

 リードを許した状況で桑原が登板するのは、4月4日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来。前回つかめなかった勝利を、全力でつかみとった。先制2ランのバレンティンをスライダーで空振り三振に抑え、今浪は二塁ゴロ。「ランナーを返さなかったので、仕事はできたかなと思います。しっかり抑えることができた」と振り返り、6回も7番からの3人を完璧に封じた。イニングをまたいでの5人斬りも「それが仕事ですから」と、仕事人は冷静そのものだった。

 前のめりな金本采配ズバリで7回に大逆転。その後は岩崎、8回はマテオが無安打無失点で締め、9回は守護神ドリスにつないだ。最後は1死満塁のヒヤヒヤ締めだったが、全員で連敗を止めた。金本監督は「今年のうちのリリーフ陣はセ・リーグ屈指、NO・1だと思っているしね」と胸を張った。信頼の継投が実を結び、タイガースが息を吹き返した。【堀まどか】