徹底的にリスクを回避する老練な用兵。球団のバックアップも見逃せない。どんなに小さな異変でも報告するよう選手に伝え、ケガを押して…の美徳を排している。つなぎ役を果たした嶋は言う。「言いづらさのない空気を作ってくれる。感謝しています。長いシーズンで必ず生きてくる。休ませていただく以上、逆に責任は増す」。イーグルス自慢の集中打には裏打ちがある。

 コンディションを維持すべく、用兵に無数の選択肢を持つ。二塁の銀次は藤田のオプション。一塁今江は銀次のオプション。外野のオプションにルーキー田中。疲れの見えたルーキー森原の持ち場に、すぐさま福山を充てブルペンの質も落とさない。ちょうど1週間前、梨田監督は「交流戦まで5割」と現実的な目標を立てた。ノルマを達成し「いい野球ができている」と言った。いかに余力を残して勝負の夏に入るか。選手の状態という貯金も着々と蓄えていく。【宮下敬至】

 ◆大リーグ最長弾 諸説あり、1921年にベーブ・ルースが放った575フィート(約175・3メートル)や1953年にミッキー・マントルが記録した565フィート(172・2メートル)などが有名。データ分析システム「スタットキャスト」の導入で正確な計測が可能になった15年以降では、マーリンズのジアンカルロ・スタントンの504フィート(約153・6メートル)が最長。昨年8月6日ロッキーズ戦で記録した。今季最長はダイヤモンドバックスのジェーク・ラムが4月29日ロッキーズ戦で放った481フィート(約146・6メートル)。