慶大がリーグ史上初となる1試合2本の満塁本塁打を放って早大に逆転勝ちし、14年春以来の優勝へ王手をかけた。6回に6番清水翔太内野手(4年=桐蔭学園)の満塁弾で先制。7回表に一挙5点を奪われ逆転されたが、裏の攻撃で3番柳町達外野手(2年=慶応)のグランドスラムで再び試合をひっくり返した。慶大が連勝すれば35度目のVが決定。敗れれば立大が99年秋以来の優勝となる。

 1点を追う7回1死満塁。柳町が待ってましたと言わんばかりに、初球スライダーをすくい上げた。打球は長い滞空時間を経て右翼スタンドのポール際で弾んだ。6回の清水翔に続く2イニング連続の満塁弾。「完璧に捉えました。早慶戦の本塁打は格別」と自身初の満塁本塁打に破顔一笑。リーグ史上初の出来事に3万人の観客もどよめいた。

 6回、清水翔が自身早慶戦初安打となる先制の満塁弾を放った。大勢が決したかに思われたが、7回表に一挙5点を奪われた。柳町は「取り返せると思った。主軸を任され、バットで貢献しないと」と集中力を高め、狙い球を一発で仕留めた。

 元近鉄でJX-ENEOS監督として都市対抗を3度制した大久保秀昭監督(47)をしても「記憶にない」という勝ちっぷり。柳町、岩見、郡司、清水翔には打撃練習を他の選手の1・5倍近く命じてきた。そんな2人がこれ以上ない働きをし「お前らが打てよって、思っていた。そいつらがやってくれた」とうなずいた。

 負ければV逸の試合で、野球マンガにも出てこないような劇的勝利を収めた。柳町は「死に物狂いで明日勝ちたい」と決戦に挑む。【和田美保】