立大が99年秋以来、35季ぶり13度目の優勝を飾った。慶大が早大に敗れ勝率で立大を上回れなくなり、全日程を終了していた立大の優勝が決定。ドラフト候補で4番の笠松悠哉内野手(4年=大阪桐蔭)は28日現在、リーグトップの16打点で優勝に貢献。入学後、あと1歩のところで3度逃してきた優勝を手にした。立大は、51年ぶりに全日本大学選手権(6月5日開幕、神宮ほか)に出場する。

 不安から解放された先に、今世紀初めての喜びが待っていた。早大の勝利を見届けた熊谷敬宥主将(4年=仙台育英)は、待機していたロッカールームで「ありがとうございます」と告げた。泣きじゃくって頭を下げる姿に、笠松らは笑いながら応え、優勝をかみしめた。

 大阪桐蔭で西武森の同期生にあたる笠松は入学後、あと1歩のところで3度優勝を逃してきた。主軸として足りなかったのは「意識」だった。「去年まで、ミスしたら帰りのバスまで引きずっていた。4年になってやっと変えないといけないと気付いた」。東大2回戦の2打席連続弾に、明大3回戦延長12回のサヨナラ打。危機を救い、28日現在、リーグトップの16打点を挙げて優勝へ引っ張った。

 08年から「アスリート選抜入試」を実施。07年秋まで4季連続5位に沈んだが、毎年甲子園経験者が入部し、再び優勝争いに絡むようになった。笠松、熊谷らもこれに該当。今年から2枠増え7人になり、笠松も「レギュラーを取るのが当たり前じゃない」と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

 14年に就任した溝口智成監督(49)はリクルートをやめて母校に戻った。通常、6大学リーグの監督は企業に属しながら出向する場合が多いが、退路を断ち夢を追った。「18年間という長い間、開けなかった扉をやっと開けてうれしい。6大学の代表として責任を持って全日本へ準備したい」。待ちに待った優勝の先を見据えた。【和田美保】