背水の陣。広島岡田明丈投手(23)が23日の中日戦先発に向け、20日、マツダスタジアムで調整を行った。今季7勝も、前半戦終盤には調子を落とした。ビッグイニングを作るケースが増え、試合の中で修正することもできなかった。先発の柱と期待されながら、ローテーション剥奪の危機に立たされている。巡ってきた後半戦最初の先発マウンドで、答えを示さなければいけない。

 キャッチボールからしっかりと、軸足に重心を乗せてから投げ込んだ。岡田は悩みや不安を振り払うように、無駄なことは考えず、1つのポイントだけを意識した。ブルペンで40球投げ込み、23日中日戦へ。「自分のバランスを再確認したので、しっかり意識して投げたい」。オールスターブレークを区切りに、右腕は変わろうとしている。

 前半戦だけで7勝も、交流戦明けから勝ち星がなく、2連敗中。6月下旬から試合中に突如崩れてビッグイニングを作る試合が続いている。「悩んだというか、考え過ぎていた。修正した気になっていたけど、結果悪いところが出た。できていたことができなくなっていた」。前半戦最後の登板7月11日DeNA戦も6回途中10安打5失点。悔しさが残った。

 それでも、初めて出場した球宴では復調のきっかけが見えた。日本ハム中田らパの一流打者を相手に全球直球勝負を挑み、2回を無安打無失点と完璧に抑えた。最速は154キロ。「(球宴は)いかに自分の球を投げるかが最優先される。そこで挑戦できたことはいい経験になると思うし、(後半戦に)つながると思う」。無駄なことは考えず、ただ思い切り腕を振った中で光明が見えた。

 後半戦は1度先発ローテーションから外れ、2軍で調整する可能性もあった。立場は安泰ではない。巡ってきた次回先発は、結果とともに内容も問われる。「結果は意識せず、自分の投球をしたい」。背水の覚悟で、生き残りをかけたマウンドに上がる。【前原淳】