少年 筒香選手に質問です。プレッシャーに打ち勝つためにはどうすればいいですか。

 ドッと沸いた球場の中で、筒香はいつもより低いマイク位置まで大きな体を折り曲げ、語り出した。

 筒香 ネガティブなことを考えずに、ポジティブにいけばプレッシャーに打ち勝てると思う。

 ポジティブ、の言葉にうそ偽りはない。本塁打は5試合ぶり。前日22日の試合前はフラストレーションと戦っていた。「グリップの位置、スイング軌道、体の軸…。自分の打撃が全くできていない」と漏らした。

 ロッカールームに引き揚げると、イスに腰を掛け、かつての打撃イメージを思い返した。「下半身が使えていない。軸足が回転できていないから、上体だけで強引なスイングになっている。もっと下半身の回転で打つことを意識した」。思い立ったらすぐに実行するのが筒香の流儀。試合直前にもかかわらず、主砲は人知れず室内練習場に向かった。「もう1回、スイングしたら、ポジティブな部分が見えてきた」。

 少年に伝えたいポジティブな気持ちを、翌日の劇的な1発に込めた。ラミレス監督は「本当にこの瞬間を待っていた」と興奮。無邪気な子どもたちも大人だって、みんなこんなホームランに夢を見る。【前田祐輔】