広島が独走態勢に突入した。野村祐輔投手(28)が7回3安打無失点で6勝目。初の岐阜のマウンドにも適応し、低めに丁寧に投げ分けた。これで地方球場は昨季から5戦5勝だ。チームも貯金を今季最多の26とし、巨人戦は今季12勝3敗。早くも2年連続の巨人戦勝ち越しに王手をかけた。最速29日にマジック38が点灯する。

 右拳を握り、野村がガッツポーズをつくった。巨人マイコラスとの投手戦で主役の座を譲らなかった。両チーム無得点の7回1死一塁。村田への3球目は外角へのカットボール。「なんとか先制点をやらずに、と思っていた。しっかり粘れた」。遊ゴロ併殺に打ち取った。リズムを持ち込み、8回に自身の代打西川が決勝の適時内野安打を放つなど2点を先取。投げ勝って6勝目を手にした。

 どんな環境にも適応する持ち味を発揮した。黒土の掘れやすいマウンドに体をしっかりと沈み込ませた。「2回以降マウンドにアジャスト出来た」。1回に2本の内野安打を浴びるも、回を追うごとに野村らしさが増した。巨人打線を相手に低めに制球。カットボールとシュートを両コーナーに集めた。3回以降は1安打も許さない快投だ。

 これで地方球場は昨季から5戦5勝。環境に左右されず、持ち味を発揮する。気にならないわけではなく「思い通りに投げられない違和感があれば、その違和感で、どうすればいいか考える」。ハイテンポの成果でもある。自主トレ、キャンプからシーズン中も、ブルペンではピッチを上げて投げまくる。心拍数を上げ「フォームを体に染みつかさせる」。場所を問わずマウンドにフィットする能力を身につけた。

 後輩たちの活躍も刺激になった。試合前に、母校の広陵が甲子園出場を決めた。「登板前には知っていました。負けないようにと思った」と力に変えた。躍動する右腕に緒方監督も「今季一番よかったんじゃないかな」と絶賛した。2位に今季最大の10ゲーム差をつけ、勢いそのまま突っ走る。【池本泰尚】