7回に中村が2ランを放ち、2-10。8回、3番バレンティンが無死一塁から2ランを放ち、6点差とすると止まらなかった。1死満塁から上田の犠飛で5点差。2死一、二塁から中村、坂口、山崎と3者連続の適時打で2点差に迫ると、続くバレンティンが四球で2死満塁。4番山田が左前へ2点適時打を放って、試合を振り出しに戻した。真中監督は「三木が円陣を組んでこのままじゃ終われないと。選手の意地を感じました」と勢いをほめた。

 試合を決めたのはベテラン大松だった。ベンチでは誰よりも声を出し、試合後には素振りを黙々と繰り返した。荒木ら若手も練習を続ける大松を見て、自発的に「大松塾」に参加。声でも背中でもチームをけん引していた。この日も「真っすぐが多くなっていた。攻め方を頭に入れて打席に入った」と準備は万全。本塁打は必然の結果だった。

 若手がつなぎ、最後はベテランが決める。66年ぶりの大逆転劇に真中監督は「まさか追いついて、ひっくり返すとは。今年は悪い記録の更新ばっかりだったんで、いい記録が出て良かった」と笑った。勝利をもぎとったきっかけは応援し続けるファンの声援。借金26、最下位に沈むチームの浮上を願う声が燕を浮上させる。【島根純】

 ▼ヤクルトがスコア0-10から大逆転勝ち。10点差逆転勝ちは近鉄が97年8月24日ロッテ戦で記録して以来、20年ぶり4度目のプロ野球タイ記録。セ・リーグでは51年5月19日大洋戦の松竹以来、66年ぶり2度目となった。