巨人阿部が“バース打法”で決勝打をたたき出した。1点を追う4回無死一、三塁。広島中村祐の内寄り高めの140キロ直球を右中間へはじき返した。外野手の間を深々と破る逆転の2点適時打に「マギー、(坂本)勇人がつないでくれた。自分もつなぐつもりで。追い込まれていたけどコンパクトにうまく打てた」と振り返った。

 後半戦に入ってから不調が続いている。9試合で8安打も「今は絶不調です」と思うような打撃には遠い。東京-岐阜-大阪と移動続きの日程の中、新幹線やバスの車内で食い入るように見入った映像がある。「(元阪神)バースの打撃をずっと見てたよ。今までで一番、すごい助っ人の1人だと思う」。小学時代から背中を追いかけた名助っ人で、当時所属していた少年野球チームで背番号44を希望するほどだった。

 阪神バースが主戦場とした関西での一打。応援歌にある「ライトへ、レフトへ、ホームラン」とはいかなかったが、勝負を決める1打でチームの連敗を3で止めた。球団史上生え抜きでは5人目の2000安打まで残り16本。「皆さんが先走って、そればっかり言うので力んでなかなかうまく打てない。意識しないで自分らしく勝てる1本を打てるようにやりたい」と、いつもの阿部節も戻ってきた。【為田聡史】