男性警備員を負傷させるなどの不祥事を起こした巨人山口俊投手(30)に球団から1億円以上の大減額処分が下された。警視庁目黒署から傷害と器物損壊の疑いで書類送検された18日、東京・大手町の球団事務所で会見に出席した。この日から今季終了までの出場停止に加え、罰金と減俸を合わせて1億円を超える厳罰となった。被害者とは示談が成立し、被害届も取り下げられている。FA移籍で加入した右腕は、被害者、そしてチーム、ファンへの謝罪を繰り返した。

 山口俊は言葉が途切れるたびに何度も頭を下げた。不祥事から1カ月。公の場に初めて現れ、神妙な面持ちだった。「軽率な行動により、警備員の方、病院関係者の方にご迷惑をおかけし、心よりおわび申しあげます。多くの野球関係者、チームに迷惑をかけ、大変申し訳ありませんでした。多くのファンの気持ちを裏切る形となり、誠に反省しています」と謝り続けた。

 代償はあまりに大きすぎた。球団から3つの処分が下された。

 (1)この日から今季終了(11月30日)まで出場停止

 (2)罰金は事案の起きた7月11日から出場停止期間前日の8月17日までの間、1日につき年俸の300分の1に相当する金額

 (3)減俸は出場停止期間中に、1日につき年俸の300分の1に相当する金額の減額

 昨オフに3年総額7億円で移籍してきた右腕にとって、合計で1億円以上の減額となるとみられる。同席した石井社長も「過去と比べても最も厳しいのではと思う」と姿勢を示した。

 30歳の誕生日に自らの行動が道を狂わせた。7月11日、都内の飲食店で酔って右手甲を切り、病院へ。だが受診を巡ってドアを壊し、男性警備員の胸を押して机に腰などをぶつけさせて腰部打撲などで全治2週間のケガを負わせた。「警備員のケガや器物損壊の認識がなかった」と球団へ報告せず、1週間後の予告先発当日に事態が発覚した。報告しなかったことに「自分自身の未熟さ、自分のとった行動に反省している」と話した。

 示談が成立し、被害届が取り下げられた病院、警備員からは寛大な処分を求められたという。石井社長は「契約解除は考えていない。さまざまな方に意見を聞く中で私たちの方でも(契約解除の選択肢を)用意して聞いた。だが山口が極めて深く反省している。まだ30歳と若い。今後の将来をつぶしてはいけないと考えた。グラウンドの上で投げることで償ってほしい」と見解を示した。

 山口俊は近日中に1軍の前で謝罪し、ファームで練習を再開するという。「(もうプレーできない)正直不安の方が大きくあった。プレーをさせていただける機会をいただいたので、すごく感謝している」。FA選手としての成績も、野球人としての信頼も、時間をかけて取り戻すしかない。【広重竜太郎】