初の2桁勝利を、自らのプロ初本塁打で盛大に彩った。プロ8年目の阪神秋山拓巳投手(26)が、7回5安打2失点の快投。6回にはプロ初本塁打も右翼席へ放つなど、愛媛・西条高時代に“伊予ゴジラ”と呼ばれた本領を発揮した。

 5日のヤクルト戦で右太ももの張りを訴え、交代。2軍調整を経て、13日ぶりの復帰登板だったが、変わらぬ制球力を見せた。さらに7回無死二塁では、自身のツメで親指付近を切るアクシデントに見舞われたが、志願の続投。1点は失ったものの、2死二塁のフルカウントで代打松井佑を143キロ直球で三振に仕留めた。過去最高だった1シーズン4勝を大幅に更新するだけでなく、自身初の10勝目をつかんだ。

 秋山 自分のケガで、登板間隔空けてしまってたんで、何とか休んだ分、取り返そうと、ほんとはもっと長いイニング投げることができればよかったんですけど、勝利に貢献できてよかったです。

 6回には貴重な2ランも放った。金本監督は「糸井が負けじと打っとったけど、秋山の方が上でしたね(笑い)」とご満悦。野球少年だった頃は、中日や大リーグで活躍した川上憲伸氏に憧れた。日米通算125勝に加え、通算8本塁打をマーク。「川上さんは僕にとってまさに原点です。コントロールは抜群にいいですし、マウンドさばきもすごかったです」。プロ入り後に接点はないが、ナゴヤドームで川上をほうふつさせる投球を披露した。

 メッセンジャーが骨折し、藤浪が再降格するなど苦しいチーム事情で、背番号46が希望の光となった。

 ▼阪神が投手秋山のプロ初アーチなど4本塁打。今季はメッセンジャーも本塁打を打っているが、同一シーズンに複数の投手が本塁打は、球団では89年キーオ、久保以来28年ぶり。また阪神がナゴヤドームで4発は、球団史上初めてとなった。この日は中日も2本塁打。同球場で両チームが計6発は、03年5月8日の中日-阪神戦(中日5、阪神1)に並ぶ最多記録。