最高で~す! 巨人2年目の宇佐見真吾捕手(24)が、プロ初本塁打を超劇的なサヨナラ2ランで決めた。延長10回、DeNAの左腕砂田から右翼席に豪快な1発を放り込んだ。プロ1号をサヨナラ弾で決めたのは、球団では08年の加治前以来で史上5人目。同じ千葉出身で左打ち捕手の阿部を目標にする若手の一撃で、チームは3位DeNAとのゲーム差を4に縮めた。

 過去最高の1発に我を忘れた。同点の延長10回2死二塁。宇佐見が、両目を見開いて高めに浮いたスライダーを捉えた。「高めをしっかり打とうと思って」。カウント3-1からの5球目、外に逃げるスライダーをかち上げた。感触は絶好。右翼席へ一直線に飛び込む打球が見えた。夢中でダイヤモンドを駆けて、先輩らが待つ本塁へ飛び込んだ。「最高です! うれしすぎて、速く走ってました…」と後になって照れた。

 こんな場面で打ちたくて野球を続けてきた。少年時代から筋金入りの巨人ファン。中学時代は、毎週のように千葉の松戸から自転車で約18キロ先の東京ドームへと通った。実家には、よれよれになるまで着た巨人のTシャツとオレンジのタオルが今も保管されている。憧れは、もちろん強打の捕手の阿部慎之助。「阿部さんみたいに、打って勝てるキャッチャーになりたい」。大先輩と同じ力みのないフォームで構え、ズボンの裾をたくし上げるオールドスタイルの着こなしを好む。サヨナラの場面で輝く勝負強さまで重なり合った。

 キャンプでは1軍に同行し、WBCに小林が出場している間はオープン戦で主戦として出場した。その夜はホテルで1人ノートを片手に、WBCのテレビ観戦が日課だった。「小林さんのリードだけじゃなくて、他の国のキャッチャーがどんな構え、キャッチングをするのか見てました。自分にない感覚。勉強になりました」。開幕直後は右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、骨片摘出手術で長期離脱。それでも2軍で攻守に結果を出し、8日に1軍昇格。積み重ねを実らせ、ついに大仕事を果たした。

 高橋監督は「初本塁打が劇的でよかった。最高の仕事」と称賛し、阿部も「砂田から打つのはすごい」と目を丸くした。小林は「結果を出さないといけない。そういう世界」と自らを奮い立たせる。チームを底上げする若い力。Aクラス浮上の起爆剤になる。【松本岳志】

 <関係者のコメント>

 ◆市柏(千葉)元監督の福島紀和氏(巨人宇佐見を高校3年間指導。現在は柏第二中の教頭)「リストが強く、高校の時から打撃は柔らかかった。物おじせず、肝が据わった選手だった」

 ◆巨人村田真ヘッド(宇佐見のサヨナラ弾に)「左腕の外のスライダーに、肩を開かずに打った。難しいと思うよ。あっぱれだ」

 ◆巨人阿部(DeNA砂田からサヨナラ弾を放った宇佐見について)「自分はスライダーの一点張りだった。砂田を打ったのはすごい」