巨人ドラフト2位ルーキーの畠世周投手(23)がDeNA同1位浜口との「ルーキー対決」を制して同一カード3連勝に導いた。この日最速151キロの直球で相手の主砲筒香から2三振を奪うなど、8回3安打1失点。東京ドーム初勝利となる3勝目を挙げた。浜口が大学時代に日本代表経験もあるのに対し、畠は全国大会に無縁。対抗心を力に変えて下克上を決めた。チームは借金1とし、3位DeNAに2ゲーム差と急接近だ。

 畠は気持ちの高ぶりを隠せなかった。1回2死。打席には筒香。「直球が持ち味。どれだけ通用するか」と意を決した。大きな懐に全4球、臆せず直球を突っ込んだ。カウント1-2から内角高め、この日最速の151キロで空を切らせた。「格上の選手なので、当たって砕けろと思って投げた。直球は良いところに決まれば、ある程度は通用するのかなと思った」。

 直球に加え、低めの変化球もさえた。8回に梶谷に1発を浴びたが3安打1失点。東京ドーム初白星をつかみ「初回に点を取ってくれたので思いきって投げられた。連勝したいと思っていました」と声を弾ませた。

 投げ合ったDeNA浜口は同学年で、ドラフト順位は1つ上の1位。大学時代に日本代表など輝かしい経歴の左腕に対し、畠は高校、大学ともに全国大会すら出られず、ひのき舞台とは縁がなかった。「同じルーキーには負けてたまるかというのはあった。下克上じゃないけど、やったらなアカンなと」。闘争心をむき出しに投げ勝った。

 準備は万全だった。蓄積疲労を回復させるために調整法を変えた。ジョギングよりも遅い速度で長い距離を走るLSD(ロングスローディスタンス)というメニューを導入。菅野からは就寝前に栄養補給のサプリメントを摂取するよう助言を受けて実行。15日のヤクルト戦中止により登板日が16日からこの日に変わったのもプラスになった。「間隔が空いたので悪い投球はできないと思っていた。前回より球速も出ていたと思う」と胸をなで下ろした。

 初完投はお預けとなったが、高橋監督は「今、成長するには大きなチャンス。1試合投げきれる投手に少しずつなっていってほしい」と期待する。負ければゲーム差が4に逆戻りの分岐点で、ルーキーが躍動して2に縮めた。指揮官は「来週、何とか抜けるように頑張りたい」と力を込めた。このまま一気に、上昇気流に乗る。【浜本卓也】

 ▼畠が浜口とのルーキー対決を制して3勝目を挙げた。畠は6試合すべて先発して3勝1敗。巨人の先発投手は菅野、マイコラス、田口の3本柱で34勝12敗だが、残り9人の先発で勝ち越しているのは畠しかいない。畠の3勝はすべて球宴後に挙げたもので、後半戦に限れば田口の2勝を上回っている。現在、両リーグでルーキーの勝ち頭は浜口の7勝だが、後半戦に3勝している新人は畠だけだ。