またしても取られた。西武菊池雄星投手(26)が17日楽天戦に続き、2段モーションによる反則投球の判定を受けた。初回、先頭の川島に投じた1球目で宣告され、2球目からクイックモーションでの投球に切り替えたが本来の投球とは遠い内容。3回5安打3四球の7失点で6敗目を喫した。ソフトバンク戦は自身勝ち星なしの12連敗。球団は日本野球機構(NPB)に対し、意見書を提出する方針を示した。

 菊池は一切の言い訳をしなかった。初回の初球に2段モーションによる反則投球の宣告を受けた。右足を上げた後に、もう1度上げる動作が野球規則に抵触すると判断された。2球目からは右足を高く上げないクイックモーションに切り替えたが、本来の球威を欠いて打ち込まれた。「前回は取られた中で完投した。そこは言い訳にならない。今日は反則投球以前の問題。力不足です」と唇をかみしめた。

 前回17日の楽天戦でも同様の判定を受けた。この時点で審判側から具体的な問題点を説明されなかったが、右足を上げた際の上下動を小さくするなど改善に取り組んだ。それでも同じ結果となり、菊池は「チェックも厳しくなっているだろうし、取られるなら初球だろう、と思っていた。(取られたら)クイックで投げるイメージもしていた。動揺もなかった。まだまだ(修正が)足りなかったということ」と話した。

 シーズン終盤にフォームを見直す必要に迫られ、戸惑いはあるだろう。18日からの札幌遠征中はベッドに入ってもフォームのことが頭をよぎり、寝付けなかった。深夜にシャドー投球を繰り返し、テレビを見て気持ちを切り替えたという。

 困惑、疑問、不安-。さまざまな感情を「自分が引き起こしていること。自分が変えていかないと」と封印してマウンドに上がったが、ソフトバンク戦は自身12連敗となった。次回登板は31日楽天戦の予定。クイック投球を続けると、フォーム全体が小さくなるリスクもある。「昨日、今日で作ってきたフォームじゃない。もう1回、足を上げられるように修正していきたい」という言葉に、強い覚悟がにじんだ。

 この日の最速は反則投球を取られた初球の148キロだった。「言いたいことはありますが、我慢して前に進まないといけない」。先発の柱として、必死に前を見据えた。【佐竹実】