西武がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)に向け、新たなオプションを得た。先発の多和田真三郎投手(24)が、森友哉捕手(22)とバッテリーを組んで7回5安打無失点と好投。延長10回にはDH栗山が押し出し四球を選び、サヨナラ勝ちした。ここまで4連敗中で今季通算7勝15敗と苦手としていたソフトバンクを相手に、手応えをつかむ1勝となった。

 胴上げを見せつけられた相手に、西武が一矢を報いた。2-2の延長10回1死満塁、今季2度のサヨナラ本塁打を放っているサヨナラ男栗山が、押し出し四球を選んだ。「ウチにとっては消化ゲームじゃない。ソフトバンクに勝ちたいと、選手全員が強い気持ちを持っている。どんな場面でもソフトバンクに勝つのは意味がある」。ベテランらしく土壇場で力を発揮した。

 苦手意識を払拭(ふっしょく)した。前の試合までソフトバンク戦は4連敗中。今季2勝を挙げていた野上もKOされた。苦手意識を植え付けられかねない窮地だった。8年目のエース菊池がこのカードでは未勝利とあって、CSファイナルステージは先発投手の台頭が天敵退治には不可欠だ。そこに森とバッテリーを組んだ多和田が7回無失点の好投。辻監督はCSでのコンビ起用について「もちろんある。去年も相性が良かったみたいだし(5戦負けなしで3勝)リードも強気で攻めていた」と高評価を与えた。

 多和田は1回1死一、二塁、4番柳田に4球連続で内角に直球を投じた。最後はフォークで空振り三振を奪ったが「インサイドを使うと(相手に意識させられた)。CSでも当たる相手だし、いい投球につながった。最初インコースを攻めたのが中盤以降に効いた」。打者2巡目以降は得意のスライダーだけでなく、フォークも初球から多投するなど変幻自在。今季2度目の先発マスクで、多和田専用捕手状態の森は「試合前から『攻めるリードをする』と話していた。今年はフォークという武器が1つ増えた」と振り返った。

 普段はDHで先発する森が捕手で起用できたからこそ、勝負強い栗山を先発DHで使えた。単なる1勝以上の意味がある勝利となった。【斎藤直樹】