中日森野将彦内野手(39)が21年間の現役生活を笑顔で終えた。2点を追う7回無死一塁に代打で登場。一ゴロに倒れ、一塁走者に残ると1学年先輩の荒木が代走に出て交代。笑顔で握手を交わし、ベンチに下がった。サヨナラ勝利後、セレモニーで長男凌真(りょうま)さん(13)と長女凜(りん)さん(10)から花束を受け取ると、優しい顔になった。マウンド付近で胴上げされ、背番号と同じ7回宙に舞った。会見では「とにかく笑顔で終われて幸せ。悔いなく終われた。僕らしくていいと思います」とすがすがしく言った。

 7月2日の広島戦で右太もも裏を肉離れ。8月に2軍で実戦復帰したが再発した。ここ2、3年は思い通りの打撃ができずに苦しんだ。走りだすことも怖さを感じていた。「心の糸と肉の糸が切れた」とユニホームを脱ぐことを決意した。

 白井文吾オーナー(89=中日新聞社会長)は「打撃コーチとして正式にやってもらおうと構想している。彼はなかなか面白い男。チームが明るくなる」と明言。来季は2軍打撃コーチに就任することが有力になった。森野は「やらなきゃいけないでしょう。節目なのかなと思います」と後進育成に気合十分。勝負強い打撃でチームを支え、中日一筋21年。強竜復活へ、次の仕事に向かう。【宮崎えり子】