プロ2年目左腕DeNA今永昇太投手(24)が、得意の甲子園で躍動した。2位阪神との“5連戦”初戦のマウンドを任され、6回2/3を3安打無失点で11勝目を挙げた。2桁勝利を達成してから1カ月以上も苦しみながら、5試合ぶりに白星を手にした。今季3戦3勝、防御率0・48という抜群の数字を残す甲子園で、阪神との差を4・5ゲームに縮めた。

 復活のマウンドは、虎の本拠地だった。今永は7回2死から安打と四球で満塁とされて降板したが、リリーフ陣が無失点リレーを完成。8月17日中日戦で10勝目を挙げて以来の白星に「これまでずっと迷惑を掛け過ぎて、この1勝ですべてを返せるわけじゃないが、勝ちにつながってよかった。なんとか壁を乗り越えることができた」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 球団12年ぶりの2桁勝利左腕となってから4試合勝ちが遠のいた。試行錯誤にもがく日々。フォームのマイナーチェンジばかりを繰り返し、グラブをたたいてから投げるなど、いろいろ試みるが結果が出ない。2回5失点でプロ最短KOされた7日のヤクルト戦後、ラミレス監督に呼び出された。横浜スタジアムの監督室で「お前の力はこんなもんじゃないだろう? プライドを見せろ!」。“説教”を受けて目が覚めた。

 「相手と勝負をせずに、自分と勝負していた。それが一番情けなかった」。マウンドに上がれば、対する打者との勝負がある。「1番打者に初球からしっかりと投げること。それができたのがよかった」。1回を3者凡退に抑え、ペースをつかんだ。右足をしっかり上げ骨盤を強く意識。「骨盤を立たせることで下半身の力をしっかりと伝えられた」とメカニズムを振り返るが、ハートで投げた103球だった。

 甲子園での阪神戦は、今季3試合で防御率0・48を誇る。「景色がいい。マウンドからフェンスまでの距離がすごくフィットしている」。チームにとって大きな1勝。虎の背中は4・5ゲーム差に縮まった。「誰も3位を狙っている選手はいない。2位を目指して頑張りたい。次はハマスタで結果を残したい」。次戦はホームで今季最後のマウンド。一皮むけた左腕が、有終の美を飾る。【栗田成芳】