虎のしっぽが見えた! DeNA筒香嘉智外野手(25)が4点リードの9回に25号ダメ押し3ランを放ち、2位阪神に3・5ゲーム差に迫った。阪神戦は8本目と相性が良く、明日27日からホームでの同3連戦に弾みがついた。投げてはジョー・ウィーランド投手(27)が5安打完封で、球団の外国人では最多タイとなる9勝目を挙げた。チームの月間6度以上の完封は57年ぶり。投打にいい流れが続き、大逆転での2位浮上に望みをつないだ。

 諦めムードが充満する甲子園のダイヤモンドを、堂々と1周した。筒香が右翼ポール際にダメ押しの3ランを運び、7点差に突き放した。意味ある1発に「自分のことよりチームのことが大事。2試合とってホームに戻れるのでいいゲームができたらいい」。ビジター最終戦を白星で締め、勢いをつけて本拠地に戻る。

 11試合ぶりのアーチを描き、これで今季8本目の虎打ち弾となった。「相手がどこだろうと関係ない」と言うものの、2位で追う阪神を得意とする主砲の1発は、27日からの阪神3連戦だけでなくクライマックスシリーズ(CS)でも脅威になる。

 勝負を避けられ四球はリーグ1位。終盤にかけて、見極めようと自信を持って見送った球が、ストライク判定で見逃し三振というケースも増えている。「気にしすぎたらぶれてしまう。最初から最後まで我慢することです」と、目の前の事実だけを受け入れて、出塁率も1位を走る。

 打席では邪念はすべて排除する。「打席に何を持っていけるのか。バットだけ。そのバットで18・44メートル先から投げてくる投手の球を打ち返す。フェアゾーンは90度に広がっている。それだけです」。相手のデータ、ゲーム差、気迫を持ち込むのは次打者席まで。その先は「リアル」だけを追求する。それが筒香の基本原則とする唯一無二のルール。この試合でも1三振と、3つの凡打を受け入れ、最後の5打席目の本塁打で、勝利を現実のものにした。

 阪神に3・5ゲーム差とした。残り7試合すべて本拠地で戦うアドバンテージを味方につける。「(2位は)選手全員が、そしてファンも願っていること。ホームではファンの力も加わるので、いいと思います」と言い切った。ファンの後押しを受け、虎の背中を追う。【栗田成芳】