まさかだった。阪神能見が1死しか取れずに降板した。1回無死一、三塁でDeNAロペスに先制打を許すと、1死後に6番嶺井に2点タイムリーを浴びて3失点。1死満塁で8番投手のウィーランドを迎えたところで交代を告げられた。いきなりの失点に「出だしやったしね。悪いリズムを作ってしまった」。約30分攻められ、取ったアウトは宮崎の三ゴロのみ。誰も想像しなかった展開に険しい表情でクラブハウスへ引き揚げた。

 早々の交代に香田投手コーチは「序盤からゲームが決まってしまうよりは早めに代えてね…。自分のできることを一生懸命にやってくれた」とかばった。

 金本監督はCSでの選手起用について、相性重視の方針を打ち出していた。能見はレギュラーシーズンでDeNA戦に3試合先発し、1勝負けなしで防御率2・14。9月28日の同カードでは完投勝利を挙げていた。また過去ファーストステージ3試合に登板。2敗していたが、最低限ゲームは作ってきた。首脳陣は後のない3戦目とあって、相性が良く、経験豊富な左腕に期待したが、勝利へ導くことができなかった。安藤が抜け、投手陣最年長となる来季に悔しさを晴らすしかない。【山川智之】

 ▼阪神の先発能見が1/3回で降板。プレーオフ、CSでは77年第3戦の稲葉(阪急=対ロッテ)に並び、先発投手の最短降板となった。セ・リーグの過去最短は07年上園(阪神)10年朝井(巨人)16年今永(DeNA)の各1回で、1回持たなかったのはリーグ初。なお、日本シリーズでは0/3回と1/3回が5度ずつある。