楽天梨田昌孝監督(64)が、メリハリを利かせた短期決戦用の手綱さばきを駆使した。

 得点力の低下を承知で、下半身に不安のあるペゲーロを抹消。入れ替わって昇格のアマダーが2回にソロ本塁打を放った。ペゲーロの状態は深刻でなく、代打などで出場可能に映るが「日本シリーズは40人枠に広がる。そこまでに良くなってくれれば」。シーズン3位からの大番狂わせを狙った大胆な用兵を的中させる一方で、試合運びは対照的に石橋をたたいて渡った。

 3点リードの6回無死一塁と、2点リードの9回無死一塁。ともに送りバントを選択した。6回は2死三塁まで進んで打席にウィーラー。相手先発の東浜を先に降板させることに成功した。CSに入って無死一塁の場面が11回あり、うち9回で送りバントを企画している。シーズン犠打105は1位ソフトバンクより51個も少ない。動かない印象をがらりと変え、愚直に1点を追求している。

 試合前は「1勝のビハインド、壁をぶち破ろう」と送り出した梨田監督。「もう1点。タイムリーで取りたかった。まだタイとは思っていない。『もう1つある』くらいの気持ちで」と引き締めた。【宮下敬至】