自前のチームで日本一を目指す! 阪神金本知憲監督(49)が18日、大阪市福島区の電鉄本社でシーズン終了報告のため、坂井信也オーナー(69=電鉄本社相談役)と会談した。外国人の大砲獲得を要望しつつ、FA市場での野手補強を事実上、封印することを示唆。自身のテーマである若手育成を継続する意思を明かし、来季こそ打倒広島を実現する決意を新たにした。

 CS敗退から一夜明けても、まだ心中は穏やかではなかった。シーズン報告を終え、金本監督は率直に語った。「めちゃくちゃ悔しいです。腹も立ちます。情けなさもありますし。昨日もムカムカした。力のなさを痛感しています」。球団側からは4位から2位に引き上げた手腕を評価されたが、その称賛に甘んじる気はない。来年こそ、日本一を目指すことを坂井オーナーに約束した。

 就任以来、掲げる「超変革」は道半ばだ。今季は高山、原口、北條といった期待の若手が伸び悩んだ。それでも、指揮官の志がブレることはない。野手を見れば、今オフのFA市場には日本ハム中田ら権利を保有している選手がいる。「昨年は糸井を獲得したが、今年は…」。そんな問いかけに、こう返した。

 「できるだけ今は、FA補強は最小限に、本当に必要な所だけ補う。補強は最小限、育成は最大限。自前でチームを作っていくのが就任した時の目標であり、目的なので、ブレずになるべく頼らないように。外国人は別ですよ」

 今後、不測の事態が起これば状況は変わるが、事実上、FA野手の補強を封印することを宣言した。若手の育成にこだわり、チームの底上げに尽力する。ファンの支持を集めている自らの理念を継続する決意を明かした。

 リーグ2連覇を果たした広島は生え抜きの野手が躍動する。ツギハギの補強では、これに対抗できない。鍛え上げた選手に、外国人の大砲をミックスする。時間はかかるが、チーム強化に近道はない。助っ人獲得は一塁手を中心にフロントに要望している。「ほしいですよ、それは。ホームランは試合の流れが一発で変わるから。もちろん、そういうバッターばかりを必要にしているわけではない。つなぐバッター、四球を取るバッター、転がせるバッター…、みんな、いる中での大砲ですよね」。

 この日からチームはオフに入ったが、秋の構想は頭にある。「とにかく若手の底上げ。振る力、対応力をつける。あとは内野の守備力ですね。徹底的に鍛え上げたい」。24日から開始する秋季練習、その後の秋季キャンプで来季への飛躍を促す。V逸、そしてCS敗退の悔しさを胸に、指揮官が勝利と育成の両立に闘志をたぎらせた。【田口真一郎】