もう後がない。3位楽天が、ソフトバンクに王手をかけられた。第1戦から2連勝の後、2連敗。2勝3敗となった。梨田昌孝監督(64)は「もう後がない。でもこういう経験は何度もしている。みんなで頑張るしかない」と、決して下を向くことはしなかった。三木谷オーナー、立花球団社長が観戦した中、1点が遠かった。勝つしか、生き残る道はない。

 先発岸は2回に先制点を許すなど苦しい立ち上がり。3回にはデスパイネに1発を浴びたが、4、5回は立て直した。だが、92球を要していた。梨田監督も「ボール先行で、アップアップ状態だった」。味方が1点を勝ち越した直後のこの回で降板させ、1点リードの6回から2番手に宋家豪(ソン・チャーホウ)を送り出した。

 だが、流れを引き寄せることが出来なかった。先頭内川に4戦連発のアーチを許すと、次打者の中村晃にもソロを食らった。痛恨の2者連続弾。宋家豪は「自分のせい」と責めたが、岸は「緊張感ある中で、早い回に降りて、中継ぎ陣に負担をかけて。申し訳ない」とかばった。打線も7回以降、1安打止まり。勝利が届きそうで、つかめなかった。

 あの時のように、崖っぷちからはい上がる。西武とのファーストステージは、記憶にも新しい。セ、パ両リーグ合わせ、過去のプレーオフ・CSの初戦に敗れたチームの突破率は8・7%。楽天はそのデータを超えた。初戦を落としながら、連勝で福岡の切符をつかんだ。立花社長も「オーナーとは『西武戦も初戦で敗れてから、そこから勝った。まだ最後まで頑張ろう』という話をした」と前を見ている。今日22日の先発は美馬。13年日本シリーズMVP男で、流れを変える。【栗田尚樹】

 ▼楽天高梨は1Sで3試合、ファイナルSで3試合に登板し、CS通算6登板。同一年のプレーオフ、CSの最多登板は12年山井(中日)の7試合だが、新人では12年田島(中日)に並ぶ最多。