目を覚ませ-。広島がクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦を落とし、崖っぷちに追い込まれた。初戦を勝ってから3連敗で、アドバンテージ1勝を含めても2勝3敗。日本シリーズ進出へ、DeNAに王手をかけられた。初回に3点を奪ったが、以降は沈黙。6回は無死満塁で点が取れなかった。唯一2安打と気を吐いた新井貴浩内野手(40)は懸命に切り替え、緒方孝市監督(48)も前を向いた。

 重苦しい雰囲気を脱したかに思えた。1回に丸が今CS初本塁打、初打点となる2ランを放って先制。その後も新井が適時二塁打で続き幸先よくスタートを切った。だが、2回以降は沈黙。6回に新井が放った左前打の1安打のみに抑えられた。投手陣が踏ん張れず逆転を許し、ビハインドの1点が果てしなく遠かった。後がなくなり、チーム唯一のマルチ安打を放った新井は静かに口を開いた。

 新井 今日はもう、終わった。また明日に向けて、良い準備をしっかりしたい。意地を見せたい。

 なかなか呪縛から解放されない。6回無死満塁の好機に連続代打の岩本、小窪が空振り三振。意地を見せたい9回も、3人で封じられた。中盤から終盤にかけては、押される一方の展開。DeNAラミレス監督のタクトが次々にはまる。3万1311人がつめかけた球場の雰囲気までも、支配された。逆転の広島が、ホームアドバンテージを生かし切れなかった。

 ここまで4戦を戦い、計21安打、8得点。チームを支えてきた最強打線が本調子でなく、崖っぷちに立たされた。今日24日の第5戦に敗れれば、今季が終わる。投手陣は踏ん張り、劇的に流れを変える一打が出るか。そして緒方監督がその采配で、いかに雰囲気を変えるか。マネジメントを含め、折れる覚悟でタクトを振らなければならない。

 緒方監督 後がない状態になった。とはいっても焦らず、明日も自分たちの野球をやるだけです。

 圧倒的な強さを誇り、レギュラーシーズンでは3位DeNAに14・5ゲーム差をつけた。シーズン中も苦しい時期はあったが、そのたびに一丸で乗り越えてきた。セの王者の意地を見せられるか。こんなところで終わるわけにはいかない。【池本泰尚】