ハマの主砲は最強だ!! DeNA筒香嘉智外野手(25)が2戦3発の超ド級の活躍でチームを98年以来19年ぶりの日本シリーズ進出に導いた。クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ第5戦、2点リードの5回に2試合連発となる2ランを放つと、7回にも左中間席に2打席連発を放り込んだ。宮崎、桑原、梶谷にも1発が飛び出し、チーム5本塁打で、4連勝を決めて、セ・リーグ王者の広島を沈めた。セ・リーグで3位からの日本シリーズ出場は史上初。日本一をかけ、28日からソフトバンクとの日本シリーズに臨む。

 

 運命の扉をこじ開けた。筒香がドスの効いた快音を響かせた。2点リードの5回2死一塁。広島2番手大瀬良をのみ込んだ。打席に入ると、下半身をどっしり落とした。「構えている感覚がいい」と力みすぎず、抜きすぎず。内角に甘く入った146キロ直球を仕留めた。打った瞬間。場内が静まりかえる。バックスクリーンに2戦連発の2ランをぶち当てた。「自分のスイングができ、手応えも良かった。甘くきたボールをしっかりと強く打つことができた」。7回にも2打席連続アーチで敵を完ぺきに沈めた。

 高鳴る鼓動が今は心地いい。5月25日の中日戦で右あばら骨に死球を受けた。息をするのも苦しい。激痛が襲った。試合後、球場内の処置室でエコー検査を受けた。骨折の疑いで精密検査を勧めるドクターに向かって言った。「折れてますよね。レントゲンを撮ったら痛みは変わりますか? 復帰時期は? 僕は休む気はないので、このままプレーさせてください」。チームメートには平然を装ったまま出場を続けた。

 腹を決めた。上半身にさらしを巻いて患部を締め付けた。だが肝心のバットは動かない。5月26日阪神戦から7試合連続で無安打。30打席で15三振も喫した。大半は見逃し三振で8四球は出塁する唯一の方法だった。打率は2割9分1厘から2割5分3厘まで急降下。ふがいない日々に「骨が折れても死なない。これぐらいで弱音は吐けない。結果を出せずに申し訳ない。それだけです」とケガを不振の理由にするのだけは嫌った。

 CS争いを繰り広げたレギュラーシーズン終盤でスーパースターの言葉に目がとまった。「運命よ、そこをどけ。俺が通る!」。マイケル・ジョーダンの言葉が心にしみた。3位からの下克上で日本シリーズ進出を決めた。まさに、運命を強引にどかした。簡単に切り開いた道じゃない。仲間とともに、いばらの道を力強く突き進んだ。98年以来19年ぶりに日本シリーズを横浜に持って帰る。「チーム全員で勝った勝利。自分の結果どうこうよりチームが勝つこと。横浜に帰れるので日本一を達成できるように頑張る」。バットを肩に担いだハマの主砲が日本最高峰の戦いに挑む。【為田聡史】