胸中は五分五分-。今オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使する意思を固めている阪神大和内野手(29)が28日、甲子園室内練習場で秋季練習に参加後、進路について激白した。残留か移籍かの2択について、現状を「五分五分」と表現した。この日も球団側と残留交渉に臨んだとみられるが、すでに水面下ではDeNA、オリックスが獲得調査を続けている状況。愛着のある虎に残るのか否か、名手の動向が注目される。

 大和は苦笑いで慎重に言葉を選びながらも、どんな問いかけからも逃げなかった。秋季練習を終えてクラブハウスに消える間際、報道陣が駆け寄ると通路で立ち止まった。FA権について問われると「五分五分です」と表現。これは残留か移籍か、2択についての返答だ。今も指導を受ける首脳陣、共に練習に励む仲間に配慮しつつ、悩める胸中の説明を丁寧に始めた。

 まだ公の場で表明はしていないが、すでに今オフに国内FA権を行使する意思を固めており、球団にも方向性は伝えているとみられる。水面下ではDeNA、オリックスが熱心に調査を続けており、日本シリーズ終了後、正式にFA宣言すれば争奪戦となりそうな情勢だ。

 では、進路決断の決め手は? 大和は一般論として「それがすべてではないですけど…」と前置きした上で「一野球人として、サブでやりたいと思っている人は誰もいないと思います」と冷静に返した。「それ(試合に出られる可能性)があればうれしいですよね」とも言った。レギュラーを巡る競争は臨むところ。その上で、試合に出たい、という熱い思いが言葉からにじみ出た。

 球団からは来季Vに欠かせない戦力として、高い評価を受けている。大和が「何回も話をさせてもらっています」と話す通り、高野球団本部長が練習を視察したこの日も残留交渉に臨んだとみられる。3~4年の長期契約を提示され、強く慰留されている。

 「家族もいるし、子供が育つ環境も考えながら…」。頼れる先輩、知人とも相談を重ねている。「どこまで球団が許してくれるか、というところもある。ゆっくり考えます」と締めくくったが、阪神側はFA宣言残留を認める方針。球界屈指の名手がいかなる決断に向かうのか、その動向から目が離せなくなってきた。【佐井陽介】