プロ野球創設期の名投手、故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」の選考委員会は30日、来季からの沢村賞選考について、従来の7項目の選考基準を補足するものとして、新たに7回自責点3以内の「クオリティースタート」達成率を採用すると発表した。

 投手分業制の時代が続き、選考の基準にある「10以上の完投試合数」「200イニング以上の投球回数」をクリアする投手が減った。全7項目の基準をクリアした投手は11年の楽天田中将大(現ヤンキース)以来出ていない。

 堀内恒夫委員長は「沢村賞の基準で定めたクオリティースタート達成率を、評価基準に補足的に盛り込むことにしました。新たな規定は2018年シーズンから適用します。沢村賞の基準に定めたクオリティースタートとは、先発投手が7イニングを投げて3自責点以内に抑えたときに記録されるもので、全登板数に占める達成率を補足基準として盛り込むものです。あくまで先発完投型の、その年にもっとも優秀な投手をたたえるというスタンスに変更はないです。もともと規定にある7項目が選考上最も重視される点も変更はありません。ただし、分業制が続く近年のプロ野球で現行の選考基準をクリアでいる投手が少ないシーズンがあることも事実です。メジャーリーグで言われる一般的なクオリティースタートの条件、6イニング以上3自責点以内ではなく、より長いイニングを安定して投げる投手として、7イニング3自責点以内を条件としました」と説明した。

 今季の成績に当てはめると、7回3自責点以内の試合は巨人菅野、マイコラス、西武菊池が最多の19試合。全登板数との割合では、菅野が76・0%で1位、2位は菊池の73・1%だった。