西武から育成2位指名を受けた北海道教大岩見沢の斉藤誠人捕手(22=札幌光星)が13日、岩見沢の同大キャンパスで指名あいさつを受けた。西武からは前田俊郎育成アマチュア担当部長(52)、水沢英樹スカウト(48)が出席。北海道の国公立大で初めてドラフト指名を受けた斉藤を見た前田部長は、米大リーグ屈指の強肩強打捕手ヤディエル・モリーナ(35=カージナルス)級の選手への脱皮を期待した。

 球団関係者を初めて岩見沢に迎え、斉藤の顔が紅潮した。所属する野球部は4年間2部のまま。春先のケガで今季の試合出場はDHのみ。「本当に指名されたのか?」。ドラフトから18日間の疑問が、やっと解消された。「(訪問で)実感がわきました(ドラフトの)様子をネットで見ただけだったので、こういう風になって、やっと(プロに)なれるのかなと」と笑った。

 育成入団の22歳に対する期待は大きい。前田部長は「モリーナのような選手に」と、世界NO・1捕手の名前を挙げ、奮起を促した。大学2年時、ふと「どんな体勢でもアウトにできればいいな」と思い立った。モリーナの動画を見て「座り投げ」をまねた。公式戦で投手に返球するふりをして、二塁走者を刺そうと試みた。「セーフでしたが、惜しかった」という。

 もちろん越えるべき壁は高い。12日に海外フリーエージェント権を持つ西武炭谷銀仁朗捕手(30)の残留が決まった。同年齢の森友哉捕手(22)もいる。今春、岡山の山奥の球場で視察、埋もれた逸材の才能にほれ込んだ水沢スカウトは「フットワークも肩もバッティングも、リードもいい」と絶賛する。プロ入り後の成長を誓う斉藤は「森選手と同じ場所で戦えるように努力する」という。

 自ら「暗黒時代」という中学時代は10人チームの補欠。身長165センチと小さく、二塁まで送球が届かなかった。大学入学時、部活動の選択はハンドボール部とバレーボール部で悩んだ。「10月の終わりに(教員の)臨時採用試験」と考えていた矢先、降ってわいたドラフト指名。いつ野球から離れてもおかしくなかった大学4年生が、気がつくと、プロのスタートラインにいた。

 「高齢者における運動スポーツに対する能否認識」(仮題)という卒業論文は完成間近だ。「プロ野球選手全員の特徴をおぼえてキャンプに臨みたい」。国公立大出身の捕手らしく、頭脳をフル回転し、支配下登録、1軍昇格を目指す。【中島洋尚】