セ・パ両リーグの今季のベストナインが17日、発表された。日本一に輝いたソフトバンクの甲斐拓也捕手(25)が、育成出身では史上初めて選出された。初受賞が10選手と、若手の奮闘が目立つ結果となった。有効投票数はセが280票、パが258票。最優秀新人、最優秀選手(MVP)は、20日のNPBアワーズで発表される。

 

 ソフトバンク甲斐が育成出身で初めてベストナイン捕手に選ばれた。「本当に光栄なこと。率直にその言葉しか出てきません。これも監督やコーチに試合で使い続けてもらったたまもの」と感謝した。昨年までほぼ1軍経験はなし。7年目の今季、開幕から千賀、東浜とコンビを組んだ。年の近い2人の右腕とはとことん話し合い一緒に配球を考えた。2人合わせて29勝9敗と20もの貯金を作った。

 工藤監督は配球に厳しく、多くのことを指摘された。だが達川ヘッドコーチから「監督に怒られていると思ううちはだめ。(同じ言葉でも)アドバイスを受けていると思うか。監督からの上手になってほしいというメッセージだよ」と言われ救われ、103試合に出場。日本一に貢献した。

 10年育成6位で入団。当時スカウトだった小川2軍監督は「実際に生で見たら肩がとにかく強かった。ほかに獲得しようという球団がなかったから6位なだけ。育成の順位は関係ない」と、公称170センチの小柄な体だったが、強肩の一芸で獲得を決めた。この時のドラフト1位で将来の正捕手を期待された山下斐紹は11日に楽天にトレードされた。2歳の時に離婚し、女手一つで育ててくれた母小百合さん(50)には、ほぼ毎日電話する。うれしい報告となったはずだ。【石橋隆雄】