稲葉ジャパンが優勝し、幸先のいいスタートを切った。ただ、説明するまでもないだろうが、大会の規定通り、韓国も台湾も若手主体のチーム編成。もちろん日本も同じ条件だが、世代を限定したメンバー構成で戦えば、層の厚さからも力の差は歴然としていた。力関係から言えば、手放しに喜べるような内容ではなかった。

 結果を度外視して内容を振り返ると、不安材料は随所にあった。決勝の韓国戦2回無死一、二塁から甲斐が送りバントを失敗して併殺。4回1死一、三塁からはセーフティースクイズで三塁走者上林が飛び出してアウト。5回1死満塁から外崎の左前適時打では二塁走者近藤健が本塁でアウト。タイミングは楽々アウトで、無理に突っ込ませなくても1死満塁という状況が残る場面で、清水三塁ベースコーチの判断ミス。力量の差があるから助かったが、互角の戦いなら、ゲームの流れを変えてしまうようなミスだった。

 重要な国際大会で日本が勝つためには、好投手同士の接戦をしのぎきる野球が必要。今大会、稲葉監督は送りバントを多用したが、2戦目の台湾戦では前進守備に対して「ギャンブルスタート」をしなかったり、機動力を前面に押し出した野球ではなかった。相手のミスに対して機動力は使えたが、3点ビハインドで不可解なエンドランをかけたり、状況に応じた打撃なども少なかった。2戦目以降は「打てそうな投手だから」という理由からか、雑なスイングも多くなったのも気になった。

 本番は東京五輪。初陣を優勝で飾れたのはよかったが、メンバーが代わっても細かなミスが出ないように、反省するべき点は締め直してほしい。その先に「金メダル」が待っている。