阪神高山俊外野手(24)が23日、来季の巻き返しに向けて心境を吐露した。ルーキーだった昨季新人王に輝いたが、今年は打率2割5分、6本塁打にとどまり、2軍落ちの屈辱も味わった。今月の安芸秋季キャンプでは攻守両面で課題克服を徹底。レギュラー奪取に向けた「逆襲への2カ条」を明かし、弱点をつぶすべく継続的に取り組んでいく。

 高山は口を真一文字に結んで、安芸でひたすら白球を追った。飛躍を期した今季だったが、打率2割5分、6本塁打、24打点はいずれも昨年を下回った。18日間の秋季キャンプを振り返りつつ、課題を明かした。

 <1>打撃面         

 高山 どうしてもバットが下からもぐってしまう。いかに下半身を使って打てるかですね。上半身と下半身の連動が大事だと思っています。シーズン終盤は状態が良くなっていたので。

 今季、打撃フォームが定まらず、ミスショットするシーンが目立った。得点圏打率も昨季の3割7分7厘から、1割8分5厘まで降下。苦悩ぶりは結果に表れた。最短距離でバットが出ず、アッパー気味になってしまう。スイング軌道も改善点だ。片岡ヘッド兼打撃コーチは課題を指摘する。

 「難しい球を上体だけで打ててしまう。でも、簡単な真ん中の球を打ち上げることが多かった。上半身と下半身のバランスが悪い。割れができないまま、打ってしまっているからね」

 キャンプ中は右足だけ立って左足を浮かせて打つフリー打撃も行った。「どうしても体の後ろで振ってしまう。(右足だけなら)バットを前さばきで出せる」と同コーチ。あおり打ちの撲滅法だ。キャンプ最終盤にはパワーが伝わり、右翼方向への柵越えも増えた。

 <2>守備面         

 秋季キャンプの最重要課題だった。連日、外野フライの特守を行い、集中特打を行った2日間以外は皆勤。中村外野守備走塁コーチのノックを捕り続けた。

 高山 打球を下から見るようにしたら、今まで追いつけなかった打球も届くようになりましたね。いままでは、ただ必死にやっていただけでしたから。

 中村コーチが伝えたのは2点ある。「(打球を)上から見てしまっていた。下から球を見ることです。それと腕をしっかり振って走る。少し(腕が)体から離れていた」。正確に打球判断しやすい目線と素早く打球を追える姿勢を習得。1歩目は素早くなり、猛練習の成果が表れた。堅守もレギュラー奪取の近道だ。

 高山は短い言葉に決意を込める。「来年はやらないといけない」。外野の一角は激戦区だ。自ら手放してしまった定位置を今度こそ奪いに行く。【酒井俊作】

<今季の高山VTR>

 ◆出だしは上々 3月31日の開幕戦広島戦で1回、遊撃内野安打。新人年から2年連続で開幕戦の初回先頭打者安打。

 ◆拙守 4月1日広島戦で、菊池の飛球を落球。金本監督は「目の前のプレーをちゃんとしないと」。

 ◆「悩め」指令 試合のない4月24日、不振の高山に金本監督は「いくらでも悩んで(解決策を)探しなさい」と指令。

 ◆大逆転お膳立て 5月6日広島戦で、チームは9点差逆転勝ち。高山は6回2死満塁、中田から右翼線3点三塁打で1点差に追い上げた。

 ◆プロ初の2軍落ち 8月18日、プロ初の出場選手登録抹消。7月以降の打率は1割9分と落ち込んでいた。

 ◆1軍復帰 2軍で打率3割1分3厘、5本塁打をマークし、9月25日DeNA戦で1軍復帰。代打で出場も空振り三振。

 ◆低迷 公式戦では打撃3部門などで前年より成績を落とし終了。CSでも2打席無安打に終わった。