広島鈴木誠也外野手(23)が29日、広島市内のマツダスタジアムで契約更改を行い、3000万円アップの推定年俸9000万円でサインした。今季は115試合に出場し、打率3割、26本塁打、90打点をマーク。「サインさせてもらいました。高く評価してもらい、うれしく思いました。自分の思いも伝えられた」と笑顔で振り返った。

 4月途中から4番に座り、勝負強さを発揮。昨年の代名詞だった「神ってる」とは、いつしか誰も言わなくなった。4番の重責も感じた1年に「自分自身は納得していないし、良い感覚はほとんどなかったけど、ああいう成績を残せたのは自信になります。マークされるなかで対応も出来た。良い経験が出来たと思う。苦しかったですけど、毎日やりたいことがたくさんあった。そのモチベーションは変わらずやれた。充実した良い経験、勉強をさせてもらった」と続けた。

 順調に結果を残していたが、8月23日DeNA戦(横浜)でフェンス際の打球を好捕した際に右足首を骨折し、戦線を離脱。優勝の瞬間をグラウンドで迎えることは出来なかった。だがケガを前向きにとらえ「ケガする前までは感情的にも不安定になったり、波が激しかった。ケガをして、いろんなことを感じた。野球が出来ることが当たり前じゃないし、歩けることだって当たり前じゃない。いろんなことに感謝して。ファンの方のためにも、万全の状態で戻りたい」と真剣な表情を見せた。

 現在は完全復活へ向けて励んでいる。手術とリハビリをへて、11月上旬から打撃練習を再開。2軍練習に合流するまでになった。現在は日常生活は支障がないものの、野球をするにはまだ万全ではない。「足の状態を見て痛みがなければ段階を上げていきたい。再発が嫌なので、ゆっくりトレーナーと話し合いながらやっていこうと思っています」。来季へ向けては「もうケガとか手術はしたくない。(数字は)もう言いません。しっかりと待っているファンのみなさんの前でいいプレーが出来るようにしたい」と締めた。【池本泰尚】