子供たちの笑顔を力に-。阪神鳥谷敬内野手(36)が11日、都内で社会のためにスポーツマンシップを発揮した活動を表彰する「HEROs AWARD 2017」に出席した。15年に発足した一般社団法人「レッドバード」の理事として、アジアの恵まれない地域の子供に靴を届ける活動が評価された。式ではボクシングWBAミドル級王者の村田諒太からトロフィーを手渡されて笑顔。来季13年ぶりのV奪回へ気合を入れ直した。

 鳥谷の目の前を元SMAP香取慎吾が歩く。同じ円卓の2つ隣には元サッカー日本代表、中田英寿氏がいた。壇上に上がると、ボクシングWBAミドル級王者村田諒太から「おめでとうございます!」とトロフィーを手渡された。「なんか、すごいな…」。表彰式で豪華すぎるメンバーから刺激を受けた後も、鳥谷に浮かれた様子はなかった。思い返したのは、東南アジアで出会った子供たちの笑顔だった。

 「自分たちが賞をもらう形になったけど、毎年、最後は自分たちの方が子供たちの笑顔からパワーをもらっている。もらった笑顔を力に変えて、来年こそは絶対に優勝したい」

 この日「HEROs AWARD」を受賞した。15年に発足した「レッドバード」の理事として、アジアの恵まれない地域の子供たちに靴を届ける活動を継続。「この賞は、靴を送ってくれた多くの方々、賛同してくれた方々、みんなで取れた賞だと思っています」と感謝した。

 きっかけは14年オフのこと。野球教室を行うためにフィリピン・マニラを訪問して、気づかされた。「子供が靴を履いていない。ここに必要なのはグラブじゃない」。16年12月にはマニラのスラム街、トンド地区を電撃訪問。今年11月はタイ西部のメラ難民キャンプを訪問し、大量の靴を届けた。「今は靴の他に文房具を集めたり…。現地に行って、必要なモノを集めて持っていきたい」。今後も活動をパワーアップさせていくつもりだが、まずは笑顔をくれた子供たちにグラウンド上で恩返ししたい。

 「野球をできる幸せを感じて…」

 紡ぎ出した言葉に、自然と力がこもる。感謝を体現する方法は明確だ。悲願の13年ぶりV奪回へ、脇目も振らずに突き進む。【佐井陽介】

 

 ◆HEROs AWARD アスリートによる社会貢献活動を促進し、さまざまな社会問題を解決する動きを加速させていくことを目的に、日本財団が創設したのが「HEROs Sportsmanship for the future」プロジェクト。社会や地域、子供たちの未来のために競技場外でもスポーツマンシップを発揮しているアスリートをたたえ、支えていくために今年からアワードを開催。

 ◆主な出席者 元サッカー日本代表・中田英寿氏、柔道男子日本代表の井上康生監督、レーシングドライバー佐藤琢磨、ボクシングWBAミドル級王者村田諒太。

 ◆主な審査員 元SMAP香取慎吾、アナウンサー中井美穂。