名門のエースがメジャー挑戦の大志を公言した。巨人菅野智之投手(28)が12日、都内での「報知プロスポーツ大賞」に出席。表彰式後に将来的なメジャー挑戦について「絶対的な力をつけて文句なく行けるように」と思いを明らかにした。海外フリーエージェント(FA)権取得での移籍となれば最短で22年シーズンから。来季は20勝、200イニングを目標に掲げ、4年ぶりのリーグ優勝に導き、最高峰への第1歩とする。

 

 菅野にとって「世界」を意識させられる場、そしてタイミングだった。世界一を争うゴルフ松山、ボクシング村田らと晴れの席をともにした。大谷もエンゼルス移籍が決まった。「無事に決まって良かった。日本人メジャーリーガーの試合は早起きして見るので、また楽しみが1つ増えた」と祝福した。そして自身のメジャー挑戦への思いを聞かれ、もはや隠す必要はなかった。

 菅野 今は彼のように絶対的な力がない。でもこれから3、4年ありますが、絶対的な力をつけて文句なく行けるようにしたい。

 プロ入り後、海を渡り、最高峰に臨む大志を初めて公の場で口にした。今季は沢村賞、最多勝など主要タイトルを独占した。「頂」をテーマに据え「集大成にする」と何度も繰り返した。チームは4位に終わったが、個人の戦いでは1つの極みに達した。WBCでは世界も体感した。次なるステージを見据えていい資格を得た。

 「3~4年」と表現したように将来的な話となる。これまで球団はポスティングシステムによるメジャー挑戦を認めたことがない。松井秀喜、上原浩治、高橋尚成と先輩はFA権を行使して挑んだ。菅野が先人と同じ道を歩む場合、順調なら21年シーズン中に海外FA権を取得し、22年から海を渡ることになる。

 だから異分野で世界をまたにかけるアスリートの思考は何よりの刺激となる。親交のある松山とは「ゴルフも野球もメンタルと言われるが、技術がなければ心が不安になる。僕もまったく同じ思い。技術があれば自信を持ってマウンドに上がれる」と強く共感した。村田の「金メダルを取ってからが大事」という言葉も心に染みた。

 目の前の成すべきことを自覚している。来季は「20勝、200イニング」を掲げた。ダブル達成なら、巨人では90年の斎藤雅樹現1軍投手コーチ以来となる。「過去の大投手の記録に少しでも近づけるように」。20年東京五輪も使命と捉える。「生きているうちに1回あるかないか。結果を出したい」。すべての道がメジャーに通ずる。【広重竜太郎】