中日が、ソフトバンクから戦力外通告を受けて退団した松坂大輔投手(37)の獲得を検討していることが18日、球界関係者の話で分かった。松坂は現役続行を希望し、移籍先を探している。

 中日は松坂の動向をつぶさに見守っていた。西武時代にコーチとして指導している森監督や、同じく西武で同僚として過ごし、今も親交が深い友利編成担当らが、絶えず情報を収集してきた。来春キャンプに招待し、契約を結ぶか否かを決断する-。そうした流れが有力だ。11月にソフトバンク退団が決まって以来、非公式ながら興味を示していることを松坂に伝えていた。

 メジャーで活躍していた11年に右肘のトミー・ジョン手術(じん帯修復手術)を受けて以来、松坂は本来の姿を失っている。15年に9年ぶりに日本球界復帰。ソフトバンクと3年12億円(推定)の巨額契約を結んだが、1軍登板は1度だけと苦しんだ。右肩の不調もあり、最後もフォーム固めに腐心する日々だった。

 実績も名前もトップクラスだが、まともに投げられるかどうかすら分からない状況に、国内の各球団は注目しつつも二の足を踏んだ。その中で、中日は早くから獲得を前提に検討を続けていた。

 中日は森監督の音頭で徹底的に世代交代を図っている。鈴木翔、小笠原ら有望な若手投手がめじろ押し。ドラフトでは6人中5人が高校生。獲得ならば、若返りとは逆行するが、松坂となれば話は別だ。

 神奈川・横浜高校で甲子園春夏連覇。日米での活躍。WBC2大会連続MVPなどの輝かしい実績はもちろん、メジャーで大手術を受け苦難も味わった。波瀾(はらん)万丈の野球人生が、チームに好影響を与える可能性がある。過去には、オリックスと契約決裂し、松坂と同じように所属先が決まらなかった中村紀洋が、07年春のキャンプでテスト入団し、その年の日本シリーズMVPにまでなった前例もある。

 松坂はソフトバンク退団時に「感謝の思いを伝えるのは1軍のマウンドだと思っています」とコメントした。そんな日本球界のレジェンドが、中日で再挑戦の場を得るかもしれない。

 ◆松坂大輔(まつざか・だいすけ)1980年(昭55)9月13日生まれ、東京都出身。横浜で98年の甲子園春夏連覇。同年ドラフト1位で西武入団。1年目の99年に16勝で新人王に輝き、同年から3年連続で最多勝。07年にレッドソックスに移籍し、同年世界一。インディアンス、メッツを経て15年にソフトバンク入団。主な表彰は最優秀防御率2度、最多奪三振4度、沢村賞。00年シドニー五輪、04年アテネ五輪、06、09年WBC日本代表。今季年俸4億円(推定)。183センチ、93キロ。右投げ右打ち。