昨季先発復帰し3年ぶりに10勝を挙げた広島の大瀬良大地投手(26)が「黒田流」でさらなる飛躍を誓った。8日、マツダスタジアムの室内練習場で自主トレを公開。黒田博樹氏の映像を参考にした投球フォームに改良中であることを明かした。また、黒田氏のように気持ちを前に出したスタイルも模索。自己最多となる170投球回を目標とした右腕が進化を続ける。

 大瀬良の投じた球が、50メートル先のネットへ力強く飛んだ。フォームの改良ポイントは右かかと、股関節の使い方などを挙げたが、昨年と違いが目立つのは左手。より高く上がっていた。

 「映像的に言うと黒田さんの使い方。左手が上がることで右肩も下がってくるが(球離れまでの)助走が大きい方が、球の強さもいい方向に出る。ネットスローをしていても、最後のひと伸びが出てきた」

 昨シーズン終了後に黒田氏と食事をする機会があり、技術的なアドバイスをもらった。今は主に動作解析の専門家に助言を仰ぎながら、最初は「めちゃくちゃ違和感があった」という新フォームを固めている。

 マウンドの立ち姿も、気迫を前面に打ち出す黒田流を模索する。「やるか、やられるか。それくらいの気持ちでマウンドに立てば違ったパフォーマンスが出るかもしれない。昨年はいろいろ経験した。マウンドでは闘わないといけないと思った」。昨年8月の阪神戦で藤浪から死球を受け、笑顔を返した行動は賛否を呼んだ。やるか、やられるか。それは黒田氏から受けた「プロの世界は生きるか死ぬかくらいの覚悟で」との教えにつながっている。

 昨オフまで3年連続で合同練習を行っていたドジャース前田から独り立ち。たった1人で、新年は2日からボールを握ってのトレーニングを続けている。

 「昨年まではマエケンさんについていこうという気持ちだった。マウンドでは1人だし、もう1つ上の段階に行くには、自分で考えて行動することが大事と思った」。昨季は7月まで7勝も、8月の防御率が6点台など失速。春のキャンプに右脇腹を痛めたことも響いたが、このオフは順調な時を過ごしている。

 「昨年は絶対的な信頼を得られなかった。今年はもっと結果を残したい。3連覇はもちろん、日本一になれるように貢献したい」。掲げる170投球回をクリアすれば、おのずと近づくはずだ。【大池和幸】