5分で「中日松坂」が誕生した。昨季限りでソフトバンクを退団した松坂大輔投手(37)が23日、中日の入団テストをナゴヤ球場の室内練習場で受け、約5分、22球で合格した。単年契約の年俸1500万円、さらに出来高がつくとみられる契約を結び、背番号は「99」を選んだ。西武、ソフトバンクに続く国内3球団目で、初のセ・リーグ挑戦。日米通算164勝を挙げる「平成の怪物」は復活するのか-。開幕ローテ入りを目指し、新たなスタートを切った。(金額は推定)

 集まった約100人の報道陣をシャットアウトして、松坂の入団テストが始まった。非公開のもと、ナゴヤ球場の室内練習場内のブルペンに、捕手のミット音が響く。捕手を立たせ、スライダー、カーブ、チェンジアップを交えて22球。時間にして約5分。森監督が「はっきり言ったら、このままずっと見たいという気持ちになった。このままキャンプに連れていく」と心に決め、投げ続ける右腕を制した。その瞬間、中日松坂が誕生した。

 松坂 周りにどう見られようが、どう思われようが、自分でまだやり切った悔いのない野球人生だったとは思えない。そう思えるようになるまでは、自分を信じて進んでいきたい。ケガをしてやめる、諦めるということはしたくなかった。場所は変わるかもしれないけど、投げきって終わりたいという気持ちだった。

 松坂はこの日に全身全霊をかけてきた。支配下選手での現役一本にこだわり、ソフトバンクを退団。米国でトレーニングを重ねてきた。中日が今回のテストを完全非公開にしたのも、投球に集中したい本人の強い希望で実現。魂を込めた22球で、新たな道が切り開かれた。

 背水の覚悟だ。「先を見る余裕はない。1年1年最後のつもりでやっていくことになる」と1年契約。背番号は「99」を選んだ。OBである故星野仙一氏(享年70)が現役時代につけた中日のエースナンバー「20」が頭に浮かんだが「今の僕がつけるべきではない」と判断。「足したら18にもなる。99という数字に何か意味があるんではないかと」と、慣れ親しんだ「18」にもつながりを感じつつ、「99」で再出発することを決めた。

 期待には結果で応えるだけだ。次の目標は「それ(開幕投手)はまだ思えない。使ってみようと思える状態に上がればいい。僕はそこまで持っていかないといけない。それはできる自信はある。(開幕ローテ入りを聞かれ)そこは目標を持っていきたい」。中日の先発陣は小笠原や柳、鈴木翔など20歳代が中心。プロ20年目を迎えるが、負ける気などない。西武時代ともにプレーした編成部渉外担当の友利氏は、「直近の映像も見ていたけど、西武時代を見ているような投球だった」と、全盛期と重ねたほどだ。

 2月1日からの春季キャンプは1軍北谷スタートが決定。日米通算164勝右腕が新たな伝説を築いていく。【宮崎えり子】