ソフトバンク13年ドラフト1位の加治屋蓮投手(26)が7日、明石、今宮を相手にキャンプ初の打撃投手を務め「特長を出せた」と手応えをつかんだ。明石に対して26球を投げ安打性は2本。今宮には25球で8本打たれたが、きっちり両コーナーに直球を決める「北別府投法」を披露。初の開幕1軍へ、猛アピールだ。

 加治屋の持ち味である、動くストレートがコーナーいっぱいに決まった。レギュラー格の明石を詰まらせ、ゴロの山を築かせる。「明石さんに対しては、動くボールでゴロを打たせられたので良かった。特長を出せたと思います」。今キャンプ中に取り組んでいる「北別府投法」に確かな手応えを得た。

 第1クールの3日、達川ヘッドコーチから伝授された。「コースの狙い方ですね。インコースは肩。アウトコースはケツで狙う。それを翌日のブルペンで試したら良かった。自分に合っているのかなと思う」。北別府学氏といえば抜群の制球力でコーナーを突き、広島で213勝を挙げた大エース。生まれは鹿児島だが、高校は宮崎の都城農で、宮崎出身の加治屋とも縁がある。加治屋は新たに習得したレジェンドの極意でアピールに成功し、B組投手の中で最初にA組の打撃投手に呼ばれた。

 13年ドラフト1位右腕も今季で5年目。昨季は2軍で主に抑えとして42試合に登板したが、1軍では16、17年にそれぞれ2試合ずつ登板しただけで、危機感は募る一方だ。

 「1年、1年すごく自覚は強くなっている。今年はいつもより数倍強い思いでキャンプに入った。しっかりアピールして、使ってみたいと思わせるものを出さないと」。昨季5年目で16勝を挙げ最多勝を獲得した12年ドラ1東浜のように、飛躍にかける思いは人一倍、強い。

 この日の投球を若田部投手コーチは「持ち味を出せているところもあった。順調に来ている」と評価した。まずは目標とするキャンプ中のA組昇格へ、確かなステップを踏んだ。加治屋が狙う中継ぎ枠では五十嵐、岡本らが故障で出遅れている。初の開幕1軍へ「僕にとってはすごくチャンス」。肩とケツでがっちりつかみ取る。【山本大地】

 ◆加治屋蓮(かじや・れん)1991年(平3)11月25日、宮崎・串間市生まれ。大束小3年から軟式野球を始め、大束中では三塁手。福島で本格的に投手を始めた。2年秋からエース。2年夏、3年夏は県2回戦で敗退。10年にJR九州に入社。13年ドラフト1位でソフトバンク入団。16年にプロ初登板。昨季は1軍で2試合に登板。2軍では主に抑えとして42試合に投げ、15セーブを挙げた。184センチ、85キロ。右投げ右打ち。