楽天の16年ドラフト1位藤平尚真投手(19)が、阪神打線を3回無安打無失点に抑えた。練習試合(宜野座)で先発。課題として取り組んでいた外角直球で4番ロサリオ、5番大山を三振に仕留めるなど計4三振を奪った。1月に亡くなった元監督の星野仙一さんの秘蔵っ子が、侍ジャパン稲葉監督が視察する中、あらためてポテンシャルの高さを示した。

 藤平はフルカウントからの7球目、138キロの外角直球でロサリオを空振り三振に仕留めた。前日15日には「外の直球は強いと思う。内角の直球、外に逃げるボールが有効になると思う」と話していたが、全て外での勝負。変化球は2球目に投じた外角スライダーのみ。「ストレートにタイミングが合っていないと思って」と、あえて外を狙い、虎の大砲から“来日初三振”を奪った。

 緻密さに加え、2種類の直球が生きた。ロサリオに投じた138キロ直球はカウントを取るものだという。次打者の大山は、148キロ直球で見逃し三振に仕留めた。「カウントを取るための130キロ台の直球、勝負しにいく150キロ前後の直球。去年から手応えをつかんでいたものがある程度使えた」と緩急を駆使した。

 何よりの成果は2人を料理したコース。ともに久米島キャンプのブルペンから意識して投げ込んできた外角直球だった。開幕投手の則本、本拠地開幕の岸、美馬の3本柱が揺るぎない中、左の辛島と開幕ローテの4、5番手を争う、2年目の19歳の好投に梨田監督は「本当にいい投球内容だった」と目を細めた。

 20年東京オリンピック(五輪)など、未来の侍としてもアピールに成功した。視察した侍ジャパンの稲葉監督は「非常にいい球を投げていて将来性を感じた。闘争心を出して投げ込む姿。自分をしっかり持って出せるのは国際試合では非常に大事。今後も楽しみ」とほめた。今季だけでなく、将来の活躍を予感させるような堂々たるマウンドだった。【栗田尚樹】