「青山」打線、恐るべし! 7年ぶりに復帰した青木宣親外野手(36=メッツ)が、阪神とのオープン戦初戦(浦添)に「1番中堅」で先発。1-2の6回には中前打で好機を拡大。3番山田哲人内野手(25)の同点犠飛と4番ウラディミール・バレンティン外野手(33)の2打席連続弾を演出し、一挙3得点の逆転勝利へと導いた。18年型ヤクルトの強力打線が誕生だ。

 勝負どころの集中力が違った。1-2の6回無死で、西浦が遊ゴロ失策で出塁。敵に生じたわずかなほころびを、青木は見逃さなかった。カウント1-1からの140キロを中前へ運び、オープン戦初安打。ベンチを沸かせ、逆転勝利へのシナリオを完成させた。

 適応力と柔軟性の高さは目を見張る。メジャー6年間で7球団を渡り歩いた。「米国の常識も分からない中、生活から全てが試練。そんな中でいつでも前向きに楽しさを忘れずにやってきた」。ポジティブにチャレンジし続けたからこそ、通算打率2割8分5厘と好成績を残せた。

 その“青木らしさ”は変わらない。2打席凡退後、練習で使用する同じミズノ社製の広岡のバットを用意した。広岡モデルがベースにする山田哲モデルは、元々は大リーグ移籍前に青木が使用していたもの。「(バットに)振られている感じがあったから扱いやすいものに」と、とっさに約1センチ短くて約20グラム軽い、かつての“相棒”に変更。両手に着けていた手袋も右手だけにした。勝負の分岐点となる場面でも、変化を恐れず、結果を求める姿勢で劣勢を打開した。

 青木がつくった流れに、「背番号1」の後継者・山田哲も乗った。坂口が1球で犠打を成功し、1死二、三塁。昨季は苦しめられた内角球を鋭く左翼にはじき返した。「本来のスイングができた。こういう感じだったなと取り戻せた」と手応えを感じ取った。

 青木がつなぎ、山田哲がかえし、仕上げはバレンティン。青木の打席からバレンティンの決勝2ランまで11球と、速攻で試合をひっくり返した新打線に、小川監督も「少ないチャンスで得点できたという点ではいい試合」とうなずいた。ヤクルトは事務所を東京・北青山に構え、公式スーツも「洋服の青山」と契約する。チームの顔ともいえる青木と山田哲の「脅威の青山」打線で、セ・リーグの台風の目となる。【浜本卓也】