日本ハムのドラフト1位・清宮幸太郎内野手(18=早実)が、持ち味全開でオープン戦デビューを飾った。オープン戦初戦の中日戦に9回1死から代打で登場し、空振り三振に倒れた。1月には右手親指を痛め、今月22日には急性胃腸炎と診断されるなどアクシデントが続いたが、実戦初打席で力強くバットを振り、待望のスタートラインに立った。プロ野球のオープン戦は24日、沖縄県内で4試合が行われて開幕した。

 清宮がオープン戦初打席で魅力を放った。9回1死。拍手と歓声に導かれ、中田の代打として堂々と左打席に入った。初球、外角への直球140キロをフルスイングでファウルとし、観客席のボルテージを上げる。さらに3球見送り、1球ファウルで迎えた2-2からの6球目。外角のフォークにバットが空を切った。空振り三振。新人らしく駆け足でベンチに戻った。

 清宮 真っすぐがくると思ったんですけどね…。最初だったので。ちゃんと抑えられました。初めての打席ですし、当てにいってヒットよりも自分のスイングをしたかった。

 待望の実戦初打席は、近づいては遠ざかった。1月の新人合同自主トレ中に右手親指を打撲。米アリゾナ合宿ではほとんど打撃練習ができなかった。今月21日には初のフリー打撃で前進したかと思いきや、翌日には急性胃腸炎と診断された。アクシデント続きで、2月中の実戦初打席も危ぶまれた。そんな中で、この日の朝に栗山監督から出場を告げられた。「本当だったらもっと早く(打席に)立っていたかも知れない。全部自分のせい」。気持ちを高めて1打席にぶつけた。

 「やっときたな」と奮い立った初打席の3時間ほど前、球場の視線を一身に浴びた。試合前練習のフリー打撃で22スイング中、5本の柵越え。右中間への推定飛距離130メートルの場外弾には敵地ながら歓声が巻き起こった。ボールは隣接する陸上競技場まで転がり、練習中の中日の投手陣は目を丸くするほどだった。試合前から敵地の球場を“清宮色”に染めていた。

 初の実戦を終えると、車で約1時間のキャンプ地の名護に戻り、室内練習場で約1時間ほど打ち込んだ。開幕戦の出場を目指す競争はいよいよ本格化する。今日25日のヤクルト戦(浦添)にも同行し、出場する予定。「早く皆さんに追いつけるように、本当に遅れないようにしたい。あまり焦りたくはないですけど、その中で結果を出さないといけない」。スラッガーの自覚が芽生えた大物ルーキーが、王道を突き進む。【田中彩友美】