金本阪神3年目は「走る虎」で勝負する。オープン戦開幕からエンジン全開で発進だ。ヤクルトに逆転負けを喫したが、プレーボール直後からスピード野球を見せつける。1回1死後、三塁内野安打で出塁した西岡がブキャナンのモーションを完全に盗んで、三盗に成功。得点にならなかったが金本監督は舌を巻く。

 「今日のいいところだよね。それについていかないと、若いヤツらは。意識がないと、いい走塁をできない。普通でいいと考えていたら、いい走塁できない」

 この日、お役御免だった大砲ロサリオや糸井、福留らの“飛び道具”だけではない。今年は「健脚」も武器にする。2回は高山がボテボテの三塁前のゴロで激走し、内野安打をもぎ取った。4回には一塁走者の陽川が梅野の中前打で一気に三塁へ到達。指揮官は「今日は陽川の粘った四球と、三塁まで行った走塁」を収穫として口にしたほどだ。

 その一方で、とことん果敢な姿勢を求める。一塁走者の中谷、代走植田が走塁死。また、快足で鳴らす新人島田は3回、一塁走者として糸原の詰まったゴロが一、二塁間を抜けても二塁進塁にとどまった。指揮官は「いま、どんどんアウトになっていい。(一塁走者)島田もライト前(安打)で(三塁まで)行くべき。行ってアウトになったらいい。それで覚える。アウトになるデッドラインを早く自分で見つけないと」と指摘。広島で現役だった00年には30盗塁し、トリプルスリーを達成した。赤ヘル仕込みの機動力野球を追い求めていく。【酒井俊作】