ロッテがサヨナラ勝ちした。

 1点を追う9回無死一塁から、李杜軒内野手(29)が左翼フェンス直撃の同点三塁打。続く三木亮内野手(26)がサヨナラ中前打を放った。16年までソフトバンクに所属し、今春の石垣島キャンプでテスト入団した李は「1点負けていたので、とりあえず三振しないようにと思っていた。最高の場面で結果が出てよかった」と振り返った。

 チームは昨年、ソフトバンクに7勝18敗と苦しんだ。井口新監督が就任し、今季は違うぞと思わせる場面があったのは6回の攻撃だった。

 先頭の9番吉田が出塁すると、1番の荻野がカウント2-2からヒットエンドランを成功させた。内角に大きく外れるボール球だったが、体勢を崩しながらもどうにかバットに当てて一塁ゴロとし、吉田が二塁に進塁した。続く平沢は死球で1死一、二塁となったが、3番中村は一邪飛に倒れた。

 ここで一塁手の高田は背走しながら好捕したのだが、その間に二塁走者の吉田と一塁走者の平沢がタッチアップで進塁した。2死二、三塁となり、4番井上が逆転となる2点中前適時打。タッチアップによる進塁がなければ、よくて同点打という場面だった。

 今季、ソフトバンクから移籍した鳥越ヘッド兼内野守備走塁コーチは「いろんなことをやって、どう点を取るか。監督と的場(戦略兼バッテリー)コーチが考えている。(タッチアップは)後ろの走者(平沢)がよく見ていた。当たり前のことだが、準備がしっかりできていた」と話した。昨年まで相手として見ていたロッテは、足を使った攻撃が少ないと感じていた。キャンプからの意識改革が早くも実を結んだ。

 井口監督は、荻野のヒットエンドランを評価した。「ああいう形でよくやってくれた。ああいうチームプレー、進塁打は大事になってくる」。荻野は3回にも、1死一塁、カウント2-2からエンドランで遊撃にゴロを転がし、一塁走者の進塁を成功させている。井口監督自身、大リーグ時代のWソックス時代は2番打者として進塁打を評価され、ワールドシリーズ制覇に貢献している。

 ロッテは6安打で4点を取り、9安打で3点のソフトバンクを土壇場でうっちゃった。オープン戦とはいえ、昨季からの変化が垣間見えた試合だった。【斎藤直樹】