DeNA飯塚悟史投手(21)が、眠れる闘争本能を呼び起こし、開幕ローテに前進した。1回の“第1ラウンド”からテンションはマックスだった。イチロー2世と期待される宗。直球から入って、最後はフォークで投ゴロに仕留めた。2回にマレーロへのスライダーを“カウンター”で合わせられソロ本塁打を浴びても、飯塚の膝は簡単には崩れない。6回まで投げ失点はその1点のみ。プロ入り初めてオープン戦白星を挙げた。

 4年目にして、初めて開幕ローテ入りをかけたヘビーな競争を演じる。「勝負ができてやりがいがあるし、充実している」。前回、5回無失点と好投した7日阪神戦から、登板直前のロッカールームでボクシング元ヘビー級世界王者マイク・タイソンの動画を脳裏に焼き付けるルーティンを導入。「気持ちを奮い立たせて、闘争心をかき立てられる」と、ここ2試合11回1失点で、その効果を抜群に発揮する。

 好投の秘密は投球術にもある。前回登板中にカット気味の高速スライダーを習得。「投げようと思って投げたのではなく、たまたま投げた球。でも使えるなと思った」。左打者への外角低めに決まり、5回にT-岡田から見逃し三振を奪った。「真っすぐあってのスライダー。スライダーを生かすためにストレートがある」。最速146キロの右ストレートがあるからこそ“高速フック”が生かされる。

 開幕まで登板はあと1試合。ローテ入り最終テストに「信頼してもらえる結果を出したい」。4年目の進化をリングではなくマウンドで証明する。【栗田成芳】