4年目の和製大砲が、2年連続の開幕スタメンへの追い風に乗ってきた。巨人岡本和真内野手(21)がロッテとのオープン戦に「7番一塁」で先発出場。5回に4号同点2ラン、1点を追う9回2死満塁では逆転決勝打となる3点適時二塁打と、5打点の活躍で単独首位浮上に大きく貢献した。正一塁手争いを繰り広げる阿部が不振に陥る中、苦戦する右投手を攻略。オープン戦打点1位となり、定位置奪取に大きく前進した。

 飛行機雲を描くように一直線に空を飛んだ。5回1死一塁、岡本は竜巻を起こしそうなフルスイングで、ロッテ土肥の内角高め136キロ直球をかち上げる。白球は風速4メートルの逆風を物ともせず、左翼席上段に勢いよく着陸した。ZOZOマリン3戦連発の4号同点2ランを「(ファウルに)切れないでいけた。今までなかったこと。うまく軸回転でいけた」と振り返った。

 土壇場でも逆風を切り裂いた。1点を追う9回2死満塁、投手はロッテの昨季守護神、内。外角145キロに食らいついた。風速11メートルの風に押し戻されながらも、名手の中堅手岡田のダイブを越える逆転3点適時打となった。オープン戦で対右投手にはこの打席まで打率1割6分1厘。「右投手に対して前の打席はバットの先っぽ。あの打席はミートしようと思って良かった」と力まず対応し、苦にする相手を打ち砕いた。

 キングからの助言を追い風にする。昨オフ、西武中村に弟子入りした。「打球に回転をかけるイメージを持て」と遠くに飛ばすコツを授かった。前日17日の西武戦で再会し「打ってるやん」と声をかけられた。6度の本塁打王に輝いた“師匠”中村は「僕が教えたからではなく、良くなっていると思う。でももっと強く振れる(笑い)」と好調に太鼓判を押した。

 開幕スタメンへ、風向きが変わってきた。オープン戦出場13試合で無安打は1度だけ。4本塁打は2位タイ、13打点は堂々の1位と継続して結果を残している。正一塁手争いをする阿部が打率1割未満と不振で、高橋監督は「結果は残しているし、頑張っている。そこは、今のところ評価している」と岡本の活躍に目を細める。

 開幕まで残り5試合。最後まで争いは続く。「まずは開幕1軍を迎えられるように。1日1日アピールするだけです」と無心で日々を挑むとする。成長が加速しているのは確か。再起を目指す巨人の風雲児となる。【島根純】