「かち上げくん」が止まらない。巨人岡本和真内野手(21)が21日、東京ドームで行われたヤクルトとの試合形式の合同練習に「6番一塁」で先発した。7回に同点ソロを放つと、1点を追う9回には逆転3ラン。2打席連続弾の4打点で大暴れした。ここまでのオープン戦は4発と上り調子。この日の2発を加えれば“6号”と堂々の数字を引っさげる。ベテラン阿部との開幕スタメン争いは、明日23日からの楽天3連戦(東京ドーム)で大詰めを迎える。若き大砲が破竹の勢いで猛進する。

 ビッグエッグの天井が間近に迫った。1点を追う9回1死一、二塁。岡本はヤクルト石山の129キロのスライダーをかち上げた。一気に舞い上がった打球は、そのまま失速せずに無人の左翼席で跳ねた。オープン戦では打率1割台と苦にする右投手から放った2打席連続の逆転3ラン。ベンチからは「かち上げくん!」と迎えられ、「入ったことに関しては良かったと思います」と振り返った。

 アゲアゲの精神が1発を生む。オープン戦では4本塁打。実戦練習でも7回にヤクルト松岡の抜けたフォークを仕留め、左翼スタンド中段へ同点ソロをたたき込んだ。9回の1発を含めると“6号”だ。打撃の意識について「ゴロアウトになるより、フライアウトになった方がいい。ゴロは少なく、打球を上げる意識」と説明。ボールの下をひっぱたき、スタンドへとぶち込むイメージを持つ。14日のソフトバンク戦では打球をかち上げる柳田の打撃練習を見つめ「すごい」と脳裏に焼き付けた。

 上り調子の和製大砲に首脳陣の言葉も弾む。村田ヘッド兼バッテリーコーチは「最後のあの場面で打つというのは大したもの。今日はあっぱれと思った。(開幕戦のオーダーは)いい方、打ちそうな方を使う」と勝負強さを絶賛。高橋監督も「失投をいかに逃さず打てるかというところ。変化球をきっちりとらえたというのは良かった」とほめた。打撃力に評価は高まり、阿部との正一塁手競争が白熱している。

 開幕スタメン争いはいよいよ大詰め。明日23日からの楽天3連戦は開幕を見据えたベストメンバーで挑む見込みだ。岡本は「1打席、1打席しっかりやっていくだけ」と気を引き締める。いざ、最後の決戦へ。21歳の若武者が一気に駆け上がる。【島根純】