2年ぶり3度目出場のU-15フジヤマベースボールクラブは、2回戦で水沢中(岩手)に0-1で敗れ、8強進出を逃した。女子エース左腕前島悠投手(3年)は、5回1失点と好投した。前日の1回戦は、7回無失点でチームの全国大会初勝利に貢献しており、2試合12回1失点。男子打者を次々と打ち取る投球で、「静岡に女子エースの前島あり」を見せつけた。

 1点が遠かった。前島は、前日の1回戦に続いて先発し、実力を存分に発揮した。最速110キロの直球と多彩な変化球を駆使。ボールを低めに集め、打たせて取る自身のスタイルを通した。走者を背負っても冷静さを失わず、1塁走者を2度、けん制で刺した。

 要所を締める投球を続けながらも、唯一の失投が決勝点につながった。3回裏1死二塁。外角低めのボールゾーンを狙ったストレートが内に入り、適時二塁打を浴びた。「2戦続けて自分の投球ができましたし、自信がつきました。悔いはありません。今後は球速を上げ、コントロールも磨きたいです」。

 前日の1回戦は7回無失点で、チームの全国大会初勝利に貢献した。2試合で計12回、失点1。加茂考明監督(49)は、前島を手放しで褒めた。「よく投げてくれました。チームを引っ張る存在です」。

 中学生活もあと1年。現学年で、軟式のクラブチームが出場できる今後の全国舞台は、全日本少年軟式野球大会(8月)のみだ。既に富士宮支部予選を勝ち抜き、4月29日に開幕する県大会に出場する。「もっと練習して、男子を圧倒できる投球を手に入れたいです」と前島。左腕からの直球は威力十分で、SFF、チェンジアップ、カーブを投げ分ける実力は、男子を含めて全国有数だ。

 だが、現在の規定では女子は、男子と一緒に高校野球の公式戦に出場できない。そのため、女子硬式野球部のある県外の高校への進学を考えている。その前にもう1度、全国大会で「静岡に前島あり」を見せつける決意だ。【古地真隆】