巨人が1950年(昭25)に2リーグ制になって以降ワーストの“開幕失速”となった。同点の7回に2番手で登板した上原浩治投手(43)が、広島菊池の決勝ソロを含む3安打3失点で自身2連敗を喫した。復調までの期間は当面、勝ちパターンの一角から外れることを自ら示唆した。巨人は13日のカード初戦で連敗を6で止めるも1勝をはさんで2連敗。これで3カード連続の負け越し。開幕15戦で10敗目は47年以来71年ぶりだ。

 勝負の潮目で、またしても悲劇が訪れた。同点の7回。コールを受けた上原が、リベンジを期すマウンドに向かった。広島の代打メヒア、田中を打ち取り、2死にこぎ着ける。前の打席で本塁打を放っている菊池に直球を3球続けてカウント2-1からの4球目。2本の指で挟んで勝負をかけたスプリットは落ちきらずに真ん中高めに残った。「次の打者を少し意識してしまい、腕の振りが鈍った。実力不足です」と痛恨の一撃に屈した。2/3回、被安打3、3失点に沈められた。

 開幕3週間前に復帰が決まり、1軍合流は本番の10日前だった。むろん、個人トレーニングを続け、調整に妥協はなかったが「急ピッチでこの1カ月、仕上げてきた。どうにかして、今の疲れをどう取るか」と話した。10日DeNAに続く2戦連続の黒星。自身の持ち場がチームにとってどれほど重要なのかも分かっている。今後について「『厳しい場面で使うのは厳しい』ということ。4、5回に早めに(肩を)つくることもある」。斎藤投手総合コーチとの話し合いで、勝ちパターンから当面は外れて復調を優先させることになった。

 セ・リーグ5球団との対戦が一巡し、開幕から15試合を消化。記録的なスピードで10敗目を喫して借金5。厳しい数字が現実として突き付けられるも、必死に食らいつく姿勢は見せた。9回に1点差まで追い上げて、なお1死満塁でクリーンアップへつないだ。ゲレーロ、マギーの両助っ人から快音は聞こえず、高橋監督は「そこにチャンスを持っていったので、何とかしてもらうしかないところかなと思いますけど」。出だしはつまずいた。ただ、ペナントの潮目は、先の戦いにある。【為田聡史】