広島が土壇場で驚異的な粘りを発揮した。今季初のサヨナラ勝ちを収め、初の5連勝とした。貯金を今季最多6に増やした緒方監督は「全員でつかみ取った勝利。最後の最後に勝利の女神がほほえんでくれた」と、少し興奮気味に4時間56分の熱戦を振り返った。

 最後に決めたのは途中出場したプロ6年目の下水流。この日各地で活躍した横浜高校OBだ。延長12回2死から、安部が二塁打で巡ってきた最後の好機。リストの強さが自慢のスイングで、右中間を破った。

 お立ち台では「最高でーす!」と右手を突き上げ、歓声を浴びた。人生初のサヨナラ打。「安部が打席に行く前に『必ずつなぎます』と言ってくれた。あきらめずに1点1点重ねた。みんなの勝利。9回2死から追いついたのはカープの強さです」と強調した。

 終盤力がすごい。9回表1死満塁、雄平の二塁ゴロを前進守備の菊池が猛然とダッシュして本塁へストライク送球。失点を阻止した。9回の得点も2死走者なしの土壇場から。田中が安打と二盗を決め、菊池が起死回生の三塁打。「打ったのはフォークかな。必死にいきました!」という一打で、4-4に追いついた。

 リリーフ陣が総出で5回から7人無失点でつなぎ、野手も全員が出場の総力戦。負ければ首位陥落だった状況で、息を吹き返したのはセ界王者の底力だった。【大池和幸】